大人の自閉症スペクトラムとは?
自閉症スペクトラムは、発達障害の1つで、脳の認知機能の偏りによって起こる障害です。先天性の障害ですので、大人になってから気付くことはありますが、大人になってから発症することはありません。発達障害という言葉自体が広く認知されていなかったので、「少し変わった子」というような印象でしか理解されておらず、大人になり、より複雑なコミュニケーションを要求されるようになるつれ、また発達障害という言葉自体が世間で広く認知されていくのに合わせて、初めて気づくというケースが少なくありません。
この記事に興味のある方にオススメ動画はコチラ▼
自閉症スペクトラムの特徴(ウィングの3つ組)
イギリスの精神科医ローナ・ウィングは、自閉症スペクトラムの特徴を「ウィングの3つ組」と呼ばれる考え方にまとめました。
① 社会性(対人関係)の問題
周囲の人や環境に対し適切にふるまうことが難しく、相手の都合や気持ちが理解できないため、トラブルが起こりやすくなります。「空気が読めない」「常識がない」と周りから思われてしまいがちです。
② コミュニケーションの問題
必ずしも言語の発達に遅れがあるというわけでありません。その言葉が持っている辞書的な意味以上の微妙なニュアンスを読み取ることが苦手です。冗談、皮肉、お世辞、慣用句なども通じないことが多いです。
③ 想像力の問題
予定外のことが起こるのが苦手です。例えば、スケジュールや手順、配置場所といった突然の変更に対し、これから何が起こるのか想像が難しいため強い不安感をいただきます。よって、ルールやスケジュールに固執する「こだわり」として、特徴が現れます。
自閉症スペクトラムの特徴②(3つのタイプ)
自閉症スペクトラムの特徴を持つ人を次のような3つのタイプに分けています。先天性の障害なので、大人になってから発覚した場合であっても、子どもの頃から傾向はあったと考えられます。
① 積極奇異型
人と積極的に関わろうとするものの、相手を気遣ったり、相手の反応をうかがったりできないため、自分を相手に押し付けるようなコミュニケーションになりがちです。
② 受動型
相手の働きに応じることはしますが、自分から相手に働きかけることはあまりありません。相手の誘いや頼みを断ることが苦手で、流されやすいという特徴があります。
③ 孤立型
人とあまり関わりを持とうとしません。こちらからの働きに応じなかったり、目が合わなかったりします。
自閉症スペクトラム、自閉症、アスペルガーって何が違うの?
スペクトラムは「連続体」という意味を持ち、自閉症スペクトラムは自閉症の特徴を持つ人を総称した呼び名です。かつては、言語コミュニケーション能力と知的能力の高低により、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などと区別して呼ばれていました。しかし、アメリカ精神医学会発行の手引き書「DMS-5」より、それらの区別をなくし、総称して「自閉症スペクトラム」とされました。これに似た呼び名として「広汎性発達障害」がありますが、DSM-5では、すでにこの呼び名は廃止されています。
「自閉症スペクトラムかも」と思ったら
自閉症スペクトラムの診断をするためには、精神科・心療内科などを受診する必要があります。ただし、すべての精神科などで、自閉症スペクトラムの診断が可能なわけではありませんので、お住まいの近くで診断可能な病院を見つける必要があります。
どこを受診していいかわからないなど、相談窓口でお困りの場合は、次のような機関で相談してみましょう。
もし、あなたがここで記載したような特徴にあてはまり生きづらさを感じているのであれば、一度相談してみましょう。