文字を読み取るのに文字がぼやけたり二重に重なったりして見えたり、また、書くときは見ながら書くということが出来ない…それはもしかすると、学習障害(LD)の可能性があります。この記事では学習障害についてわかりやすく解説しています。
学習障害(Learining Disabilities;LD)とは
LDは、知的または聴覚、視覚の問題がないにも関わらず、「文字を読む、書く、話を聞く、話す、計算する、理論的に考える」という能力が著しく苦手という特徴が見られる発達障害の1つです。勘違いされがちですが、「勉強ができない、新しいことを学習できない」という障害ではありません。学習全般が苦手ではなく、一部が顕著に出来ないというのが特徴で、大人になってから障害に気づくこともあります。LDの原因はまだはっきりとされていませんが、脳の一部分がうまく機能していないためだと考えられています。男女比では男子のほうが多い傾向にあります。有名人ではハリウッド俳優のトム・クルーズや、女装家のミッツ・マングローブさんがLDを告白しています。
障害を詳しく
LDは以下の3つに分けることが出来ます。
読字障害(ディスレクシア)
文章を読む力が弱い障害です。LDの中で特に多いと言われています。話す言葉や内容に問題はなくても、文章を音読したり目で追いながら読んだりすることが困難です。理由は、形の似た文字を読み間違えたり、単語が理解出来なかったり、「さ」と「ち」、「b」と「d」等の似ている文字を分別することができないからです。長文であれば文字や行を飛ばして読むことがあり、今どこを読んでいるのか分からなくなることもあります。しかし、文章を読んで理解することが難しくても文章を聞いたら理解することが出来ます。
書字障害(ディスグラフィア)
文字を左右反転した状態で書いてしまう「鏡文字」や、「へ」と「く」のように反転すれば同じような形の文字の識別が出来ない。漢字であれば正しい書き順で書くことが出来ずに、線が一本多かったり少なかったりした状態で書いてしまいます。また、目と手の協調した運動が出来ない為、書き写すということも苦手です。また、文章の一定ルールが理解できない為、助詞を適切に使うことが出てきていない文章を書くことがあります。また、マス目の中に適切な字の大きさで書く、ということも苦手です。そのため、パソコンや携帯等で文章を書く等工夫をしています。
算数障害(ディスカリキュア)
計算の理解はしていても、それを応用して計算する能力が弱かったり、短期記憶が弱いため繰り上がり等の計算が出来なかったりする障害です。数字の大小の理解が出来ず、ひっ算もケタを揃えて書くことが難しいです。また、計算力はあっても図形や単位を理解することが難しいこともあります。また、アナログ時計から時間を読み取ることが苦手です。
その他
学習面だけでなく、日常生活に困難なことが起きていることもあります。例えば書くことや読むことが出来ても、単語を並べたり物事を順序だてて話すことが難しく、自分の言いたいことをうまく伝えることが出来なかったり、曖昧な言葉や慣用句を理解することが出来ないことがあります。また、話し言葉を理解できなかったり、話し言葉と音を分けて聞くことが難しいこともあります。
LDの人に合う働き方
世の中にはLDという障害を持っていても、自分らしく働いている方はたくさんいます。自身の出来ることを活かすことが出来る職種を見つけたり、苦手な事に関して、代替案を見つけることでクリアできる場合もあります。例えば、前述の俳優のトム・クルーズは、読字障害(ディスレクシア)のため、脚本の文章が理解できないというハンデを、セリフをテープに録音したものを聞いて覚えることでクリアしたという記述もあります。ですので「LDだから仕事ができない」とイコールで結ばないでください。自分らしく働く方法が必ずあるはずです。
また、LDは発達障害に含まれる為、障害者手帳の分類では「精神障害者保険福祉手帳」になります。この手帳を取得することにより、障害者雇用での就労が可能になる為、障害に配慮を受けて働くことができます。そのためには、まず「自分の障害をしっかり理解し、何が苦手で何を配慮してほしいのか」を他者に伝えられるように準備することが大切です。