こんにちは!就労移行支援事業所CONNECTの森本です!最近、TwitterやSNS、テレビ、YouTubeでも発達障害について目にする機会が増えてきました。
芸能人の方がADHDと診断を受けたなど、身近になりつつある「発達障害」の種類について具体的に解説していきます。
- 特性や特徴など具体的にどんな障害か知りたい人
- 発達障害と診断されたけどこれからどうしていいかわからない人
- 発達障害の方が周りにいるけど、どう接したらいいのかわからない人
といった疑問にお答えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
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発達障害とは
生まれつき脳の働き方の違いによる言語の発達の遅れ、対人関係をうまく構築することができない、落ち着きがない、特定分野の勉強が極端に苦手などの特徴が現れる障害の総称です。
幼少期の検診、学生生活の中で発覚する場合や、大人になって働き出してから特性や症状を自覚するケースもあります。
発達障害のタイプによって症状の現れ方や程度も人それぞれ異なり、外見で判断がつきにくい障害です。
そのため、周りの人から理解が得られずに「話が通じない」「変わっている」「怠けている」などと勘違いされることもあり、社会生活を送る上で困難が生じます。
しかし、本人や周囲の人が特性を理解し、環境を整えることで生きづらさは軽減されていくケースも多くあります。
発達障害の種類
発達障害には「自閉スペクトラム症」「注意欠陥・多動性障害」「学習障害」の3つの種類があります。
いずれの障害においても「どの特徴が出やすいのか」「障害の程度はどれくらいなのか」は人それぞれ異なります。それぞれの種類について詳しくみていきましょう。
自閉スペクトラム症(ASD ;Autism Spectrum Disorder)
「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」「自閉症」などのいろいろな名称で呼ばれていたものを2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5の発表以降、「自閉スペクトラム症」とまとめて表現するようになりました。
自閉スペクトラム症の主な特性として
●相手の表情や気持ちを読み取る/場の空気を読む/雑談すること
●主体的に対人関係を構築する
●状況を伝えることはできるが、感情や気持ちを伝えること
●曖昧な表現や適当な表現
上記のようなことは苦手とされています。
また、その他にも
●いつもと同じ環境でないとそわそわする
●急な予定変更、環境の変化などに強いストレスを感じる(想像力の欠如)
●柔軟な考え方ができない(暗黙の了解がわからず、融通がきかない)
●興味・関心の範囲が狭い
●感覚過敏、または鈍感 (音、光、臭い、触覚や痛み等の感覚が敏感または鈍感)
などが挙げられます。
原因について特定はされていませんが、遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつき(先天性)の脳機能障害だと考えられております。
そのため、親の育て方や愛情不足が直接的な原因ではないとされています。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
不注意(忘れ物が多い、ものをなくしてしまうなど)、多動性・衝動性(そわそわして落ち着きがない、順番待ちができないなど)の2つの特性を中心とした発達障害です。
ADHDは①不注意優勢型、②多動・衝動優勢型、③混合型(2つの特性が混合して存在している)の3種類に分けられています。
幼少期の頃から、学校生活などのさまざまな場面で2つの特性による行動が見受けられ、大人になってもそれらが持続しやすい障害です。
ADHDの主な特性として
①不注意優勢型
●約束したことを忘れてしまう
●整理整頓が苦手
●集中力がつづかない(気が散りやすい)
②多動・衝動優勢型
●そわそわと手足を動かす
●身体を小刻みに揺らす、貧乏ゆすりをする
●宿題や課題、仕事の書類などを期限内に仕上げることが苦手
●よく考えずに思ったことをすぐ行動に移してしまう(衝動買いをしてしまう)
●しゃべりすぎてしまう、静かにできない
などが挙げられます。自閉症スペクトラム同様に明確な原因は判明しておらず、親の育て方やしつけが原因ではないとされています。
忘れ物が多い、ルールや期日が守れないといったことによりトラブルになるなどの問題が起こり、失敗体験の積み重ねによって「うつ」「不安障害」などの二次障害を合併しやすくなる傾向にあります。
学習障害(LD)
全般的な知的水準は低くないにも関わらず「聞く」「読み」「書き」「計算」「推論する」などの学習スキルのうち、特定のものの習得や習熟が著しく困難な障害です。
学習が始まる小学校以降に発覚しやすいといわれており、知的障害とは異なり得意な分野で良い成績をとる方も多いため、「頑張りや努力が足りていない」「勉強不足なだけ」などと思われがちです。
学習障害の主な特性は次のとおりです。
読字障害(ディスレクシア)
読字障害によって、結果的に「書き」にも影響を及ぼすこともあり、「読み書き障害」と言われる場合もあります。
●たどり読み/推測読みをするなど、特徴のある読み方をする
●小さい文字「っ」「ょ」や形の似た文字「ね」と「ぬ」などを認識できない
●文章を読む際にどこを読んでいるのかわからなくなり、行や文字を飛ばして読む
●単語や文章の切れ目がわからず、読んでいる文字の意味や文章の意味を理解することが難しい
●文字の見え方にも特徴があり、黒い塊となって見える、逆さまになってみえる、文字がぼやけている、ぐちゃぐちゃの線になっているなど、人それぞれ異なる
書字障害(ディスグラフィア)
●板書がうまくいかずに、時間がかかる
●行やマス目が捉えにくく枠からはみ出しが大きい
●作文などの長い文章が書けない
●考えている内容を書いて表現することが難しい
算数障害(ディスカリキュア)
●数の大きい、小さいがわからない
●計算ができない、もしくは文章問題が解けない
●時計を読むことができない
●図形関連やグラフが苦手
などが挙げられます。上記2つの障害同様、原因ははっきりとしていませんが、学習スキルに対応する脳の働きの問題と関連すると考えられています。
発達障害の治療法
発達障害は先述の通り、【障害】であり、【病気】ではありません。
つまり、治療によって症状を無くすことを目指すようなものではないのです。
治療には大きく分けて「薬物療法」と「生活療法」があり、これらを用いることによって、発達障害の特性からくる生活のしづらさが緩和される効果が見込まれます。
どちらの治療法が合うかは人それぞれ異なりますので、主治医とよく相談しながら自分に合った治療法を見つけていきましょう。
薬物療法
先述の通り、症状をなくす目的での薬物療法ではありません。
投薬によって発達障害の特性からくる感覚過敏、注意力欠如といった生活のしづらさを緩和できる可能性があります。
それによって、仕事や生活の中であなた自身の本来の能力を発揮できるようになることが期待できます。
薬物療法については合わないケースもありますので、必ず主治医とよく相談した上で、処方された際には指示通りに服用しましょう。
自己判断で服用をやめる、飲み過ぎることは危険が伴います。
薬を飲み始めて何か気になることや、副作用と思われる症状が出た場合には、通院日を待たず早めに主治医の元を訪ねるようにしましょう。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルスキルとは、社会(ソーシャル)の中で生きていくために必要なスキルで、大人になってからでも身につけることができます。
トレーニングには挨拶や、人に何かをお願いする、断るなどのコミュニケーションや日常生活のスキル(決まった時間に服薬する)などがあります。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)を通して、自分自身の障害特性を理解し、特性に対して自分でできる対処方法を見つけていきましょう。
発達障害について頼れる・相談できる機関
発達障害であるということがわかっても、1人で抱え込まなくても大丈夫です。さまざまな支援機関のサポートを受けることが可能ですので、一例を挙げてご紹介いたします。
発達障害者支援センター
発達障害のある方やその家族を対象とした発達障害者(児)に関する療育方法や就労等の各種相談に応じ、発達障害に関する情報提供や助言を行っています。
ご自身やお子様が発達障害と診断されたけど、どこに相談したらいいかわからない場合には、まずこちらのセンターに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
相談支援事業所
障害福祉サービスにはいろいろな種類があります。
「自分が利用できるもの」「自分に合ったサービスはどれか」など自分で調べ、判断し選択することは難しいです。相談支援事業所では、一人ひとりに合った障害福祉サービスなどの利用についての案内を行っています。
障害者就業・生活支援センター
障がいのある方の生活と仕事、両方の相談ができる機関です。
「仕事をしたいと思っているけど、生活面でも困ったことがある」「仕事をしているけど、体調が不安定」といった人の最初の相談先としても適切です。
悩みを聞いた上で、より適切な支援機関や医療機関などにつなぐ役割を担っています。
障害福祉サービス・その他
発達障害の人への周りの接し方
まず、発達障害であることを打ち明けられた際には「今のその人の状態をそのまま受け入れる」という気持ちが大切になります。
発達障害の特性は、お伝えしてきたように生まれつき(先天性)ものです。
特性の中で苦手なものについては「頑張ればできるようになる」ことではありません。
例えば、「複数のタスク(マルチタスク)をこなす中で、1つのことに集中することが得意ではない」という本人の特性に対して、本人の工夫は
●事前にいつまでに何を行うのかを事前に整理する
その上で各タスクの優先順位や1つにかかる目安時間などを具体的に提示してもらうといった配慮を受けることで、作業速度が上がります。
このように当事者が特性を理解し、自分自身の配慮事項を明確にすることで特性として受け入れてもらいやすくなり、社会の中での生きづらさを軽減することに繋がっていきます。しかし、本人や周囲の人だけでは環境調整をすることが難しいケースもあります。
その際は医療機関に相談した上で、前項で挙げた相談機関や支援機関を利用することを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
それでは最後に本日の内容をおさらいします。
- 発達障害の種類は「自閉症スペクトラム(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つ
- 自閉症スペクトラムとは人間関係やコミュニケーション、想像力などに特徴を持つ障がいです
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)とは注意力や衝動性、多動などの特徴を持つ障がいです
- 学習障害(LD)とは、読み書きや計算など学習における特定の場面で支障を来たす障がいです
- 発達障害は適切な治療を行うことで困りごとが緩和できることのある障がいです
- 困ったときは発達障害者支援センターなどの機関にも相談することができます
今回もご覧いただき、ありがとうございました。