こんにちは!就労移行支援事業所CONNECTの成川です(^^♪
本日は「発達障害で障害者手帳は取得可能かどうか?」について解説します。
- ・そもそも障害者手帳って何なのかよく分からない人
- ・手帳を持つことに抵抗がある・メリットがよく分からない人
- ・具体的な申請方法を知りたい人
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発達障害で障害者手帳の取得は可能
結論から言うと、発達障害で障害者手帳を取得することは可能です。
では具体的にどのような種類の手帳に該当するのかや等級、受けられるサービス等について詳しく解説していきます。
そもそも「障害者手帳」とは何か
障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳の場合でも障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられています。
障害者手帳を持つことで障害があることを証明することができ、各種の割引やサービスを受けることが可能になります。発達障害の方の場合は「精神障害者保健福祉手帳」の取得が可能です。
ちなみに障害者手帳を取得しているからといって、それを企業等に開示しなければいけない義務はありません。誰かから取得していることが分かるといったことも決してありませんのでご安心ください。
精神障害者保健福祉手帳とは
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神状態にあることを認定するものです。何らかの精神障害により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方が対象とされています。
対象となる精神障害は次のようなものが含まれます。
- ・統合失調症
- ・うつ病、躁うつ病などの気分障害
- ・てんかん
- ・薬物依存症
- ・高次脳機能障害
- ・発達障害(自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害等)
- ・その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
また、精神障害者保健福祉手帳の等級は1級~3級まであります。ちなみに数字が若くなるほど等級(=重度)が上がります。等級の違いによる割引やサービスの違いは次のようなものがあります。
- ・医療費助成
基本的に1級と2級の場合、医療費助成を受けることができます。3級の場合には助成金が支給されないケースが多いです。
自治体によって助成の内容や対象者が異なるため、事前に確認が必要です。
後ほど「障害者手帳を取得するメリット」の項で大阪市の例を用いて詳しく説明します。 - ・税金の控除
1級と2・3級とで控除額が異なります。自治体によって「精神障害者医療助成制度」「障害者医療費助成制度」など、制度の名称が異なっていたり、助成の内容に若干の違いはあったりすることはあります。
発達障害の方が障害者手帳を取得するメリット
発達障害の方が必ずしも障害者手帳を取得しないといけないという義務はありません。しかし事実として取得するメリットは多くあります。もし取得するかどうか悩んでいる方、取得することに抵抗を感じている方は、是非次に挙げるメリットを読んで参考にしてみてください。
医療費の助成・税金の減免などが受けられる
前述した通り、障害者手帳を持っていることで各種の割引やサービスを受けることが可能になります。以下でもう少し詳しく説明していきます
医療費助成
精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方かつ健康保険に加入している方で、お住まいの自治体の制度に該当する場合、医療費助成を受けることができます。ただし所得制限があります。助成内容は各自治体ごとに異なりますので確認してみましょう。
例)大阪市
対象者:
大阪市内にお住まいの、国民健康保険や被用者保険に加入している方で精神障害者保健福祉手帳1級の交付を受けた方
助成の内容:
病院や診療所などで診療を受けた場合に、保険診療が適用された医療費等の自己負担(医療費、薬局でのご負担、訪問看護利用料)の一部が助成される。
・複数の医療機関にかかる場合は、1つの医療機関ごとに1日最大500円のご負担となります。また、同一医療機関であっても「入院」と「通院」、「歯科」と「歯科以外」は それぞれ別計算となります。(1日のご負担が500円に満たない場合は、その額)
・入院時の室料の差額、紹介状なしで大病院を受診したことにより発生した費用、その他保険給付に含まれないもの等は、助成の対象とはなりません。
参考:大阪市HP
税金の控除・減免
- ・所得税、住民税、相続税の控除
- ・自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)
- (税金の控除については所得税や住民税、自動車税等の控除があります。年末調整や確定申告の際は忘れずに申告するよう注意が必要です。)
公共料金等の割引
- ・NHK受信料の減免
- また、お住いの地域・事業者によっては次のようなサービスを受けられる場合もあります。
公共料金等の割引
- ・鉄道・バス・タクシー等の運賃割引
- ・携帯電話料金の割引
- ・上下水道料金の割引
- ・心身障害者医療費助成
- ・公共施設の入場料等の割引
手当の支給など
- ・福祉手当
- ・通所交通費の助成
- ・軽自動車税の減免
その他
- ・公営住宅の優先入居
参考:厚生労働省HP
障害者枠に応募ができる
一般雇用と採用基準が異なる「障害者雇用」の枠に応募する場合は、障害者手帳を持っていることが一つの条件となります。障害者雇用は障害があることを企業に開示して働くことを意味するため、障害に対する理解や配慮を受けやすくなるメリットがあります。雇用形態の選択肢を増やしておきたい方は、障害者手帳の取得を検討されることをおすすめします。
以下に障害者雇用と一般雇用それぞれのメリット・デメリットの比較をまとめましたので、雇用形態の参考にしてください。
オープン…障害を開示して働くこと
クローズ…障害を開示せずに働くこと
障害年金の申請を行える
年金には老齢になってから受け取る「国民年金」、労働者が加入し、国民年金に上乗せして支払われる「厚生年金」、そして、障害のある方に支払われる「障害年金」があります。国民年金と同じように、初診日時点で国民年金に加入していれば(未成年は除く)「障害基礎年金」を受給できます。
また、厚生年金に加入していれば「障害厚生年金」を受給できます。ほかにも公務員の方であれば「障害共済年金」を受給することができます。
【関連記事】障害年金の受給条件・申請方法についての詳しい解説はこちら▶
特別支援学校の受験ができる
特別支援学校とは、障害のある児童・生徒が通う学校で、学齢に応じて、幼稚部・小学部・中学部・高等部が設置されています。「幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準じた教育を受ける」ことと、「学習上または生活上の困難を克服し自立が図られる」ことを目的としています。
自治体によって受験の条件は異なりますが、障害者手帳が必須とされる場合があります。詳しくはお住まいの自治体に確認してみましょう。
ただしご注意いただきたいのは、手帳を持っているからといって障害者雇用での就職、障害年金の受給、特別支援学校への入学が保証されるわけではないということです。あくまで応募、申請、受験の資格を得ることが可能になるという意味になります。
発達障害の方が障害者手帳を取得するデメリット
では反対に、発達障害の方が障害者手帳を取得することで発生するデメリットはあるのでしょうか。結論をいうと障害者手帳を取得するデメリットはほとんどないと言えます。よくある勘違いとして障害者手帳を取得したら、周囲に開示の義務があるのではないかと思う方もいらっしゃいます。
しかし、障害者手帳を持っているからといって、障がいを勝手に開示されることも、自ら開示する義務もないので安心してください。
精神障害者保健福祉手帳の申請・取得方法
次に精神障害者保健福祉手帳の申請~取得までの流れを簡潔に解説したいと思います。
申請に必要なものを準備する
①申請書
②医師の診断書(または精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等の写し)
※診断書は、精神障害の初診日から6か月以上経過してから精神保健指定医が記載したものに限られますので注意してください。
③本人の写真(縦4㎝×横3㎝、申請の時から1年以内に撮影したもの)
④マイナンバーが分かるもの(個人番号カードか、通知カード+運転免許証やパスポートなどの身元確認書類)
市町村の担当窓口に申請に行く
※申請は、家族や医療機関関係者等が代理で行うこともできます。
申請後、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターでの審査の実施
審査が通れば手帳が交付されます。
※審査のため、申請から交付まで約1~2か月程度かかります。
特に②の指定医からの診断書については初診日から6か月以上経過していないと出してもらうことができないため、事前に受診をしておくことをおすすめします。
また、申請~取得までの流れをお一人で進めることが不安な方は家族の方や担当医、お住まいの市町村の障害福祉課、就労移行支援事業所をはじめとする福祉施設のスタッフなど、周りの方に相談してみられるとよいかと思います。
まとめ
では、最後にこの記事のおさらいです。
- ①発達障害で障害者手帳は取得可能
発達障害の方の場合は「精神障害者保健福祉手帳」に該当します。 - ②発達障害の方が手帳を取得するメリット・デメリット
メリット :医療費助成、税金の減免、障害者枠への応募、障害年金の申請など
デメリット:特にはない。障害者手帳を持っているからといって、障がいの開示義務も
勝手に開示されることもない。 - ③障害者手帳の申請・取得方法
指定医の診断書等の準備→市町村担当窓口で申請→認定されると約1~2か月で手帳交付