こんにちは!就労移行支援事業所CONNECTの園田です!
皆さんは、話したいこと、思っていることを上手く相手に伝えるために、どのような工夫をしていますか?
コミュニケーションは言いたいことだけを伝えるのではなく、伝えたいことが、相手にどのように受け取られるのかを考えていくことも必要です。
今回のコラムでは、コミュニケーションお悩みを抱えている双方の方に向けて「発達障害とコミュニケーション」について原因や対処方法をまとめて解説していますので是非参考にしてください。
- 現在コミュニケーションを取る方法に悩んでいる方
- 家族や職場に発達障害の方がいて、どのようにコミュニケーションを取ればいいのか悩んでいる方
- 円滑なコミュニケーションを取るための工夫について知りたい方
この記事に興味のある方のオススメ動画はコチラ▼
発達障害とは
発達障害とは生まれつき脳の働き方の違いによるコミュニケーション上の問題、対人関係をうまく構築することができない、落ち着きがない、特定分野の勉強が極端に苦手などの特徴が現れる障がいの総称のことを言います。
発達障害のタイプによって症状の現れ方や程度も人それぞれに異なり、外見では判断が付きにくいため、周りの人から理解が得られるに社会生活を送るうえで困難が生じることがあります。
種別としては、「自閉症スペクトラム(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」があります。
自閉症スペクトラム(ASD)とは
自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群といった自閉症の特徴を持つ発達障害の総称のことです。原因については特定されておらず、先天性の脳機能障害だと考えられています。
いわゆる空気が読めないといった「社会性の欠如」、意思疎通が正しくできない「コミュニケーション能力の欠如」、次に何か起こるのかという「想像力の欠如」といった特徴があります。
自閉症スペクトラム(ASD)の主な特性としては
●いつもと同じ環境でないとそわそわする
●表情が乏しい
●規則やルールにこだわる
●急な予定の変更が苦手
●柔軟な考え方ができない(暗黙の了解がわからず、融通がきかない)
●興味や関心の範囲が狭い
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは
「不注意(集中力がない)」と「多動性(じっとしていられない)」「衝動性(順番を待てない)」の3つの要素のある発達障害のことです。ADHDは、
②多動・衝動優勢型
③混合型
人によって特性の現れ方には個人差があり、同じ診断でも全く異なった行動特性が見られるのも特徴の1つです。
ADHDの主な特性としては
- 忘れっぽく、整理整頓が苦手で物をなくしやすい
- 気が散りやすく、集中力が保てない
- 物事を順序立てることが苦手
- 体を小刻みに動かすなど、落ち着きがなくそわそわしている
- しゃべりすぎてしまう(一方的に話す)
- 衝動買いなどをしてしまう
などがあります。
学習障害(LD)
全般的な知的水準は低くないにも関わらず「読む」「書く」「計算する」「論理的に考える」などの学習スキルのうち、特定のものの習得や習熟が著しく困難な障がいのことです。上記で解説した注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム(ASD)などと併存するケースが多いとされています。
読むことを苦手とする「読字障害」、書くことを苦手とする「書字障害」、計算することを苦手とする「算数障害」の3つのタイプがあります。
学習障害の主な特性としては、
●行数の多い文章では、いまどこを読んでいるのか分からなくなる
●形の似た字を読み間違えてしまう
●うまく文字を書くことや書き写すことができない
●数を正確に数えることが苦手、または数字を飛ばして数えてしまう
発達障害について詳しくは関連記事でも解説しております。
【関連記事】発達障害の種類を知りたい!種類ごとに特徴・要因を詳細解説▶
コミュニケーションで問題を生じやすい発達障害は自閉症スペクトラム(ASD)
発達障害の中でもコミュニケーションで問題を生じやすいのは、自閉症スペクトラム(ASD)と学習障害(LD)と考えられています。
① ASDの場合
「社会性・コミュニケーション・想像力」の3つの能力に困難が生じる特性があり、人の気持ちを汲み取ることや感情を読み取る能力が低い傾向があります。普段の会話のキャッチボールに大きく影響し、上手くできないことの経験が積み重なり、コミュニケーションに対して苦手意識を持つ人が多いようです。
② LDの場合
前述したASDと違って、情報伝達の手段が合わないということがあるため、情報認識の確認から行わなければいけなく、相互理解に困難が生じやすい障がいであると言えるでしょう。
しかしながら、ICレコーダーの使用や音声読み上げソフトの活用など、情報伝達の手段を工夫することで、障がいをカバーすることは可能です。
一方、発達障害の中でもADHDは、ミスや忘れ物が多いという特性はあるものの
●社交性がある
実際に職場で起きる例①
しかし同僚からは、あまり良く思われていませんでした。 あるとき、上司から「Aさんの能力が高いのは分かるけど、もう少し周りをみて仕事をしてくれないか」と言われました。
Aさんは何のことか全く見当がつかず、次第に孤立していくようになりました。 今回のケースですが、Aさんは能力が高く、自分の仕事をテキパキとこなし定時で帰ることのできる人です。
しかし周りを見渡すと色々な要因があり、残業をしている人、それを手伝っている人などもおり、みんなで協力して仕事をしていました。
また、Aさんの職場では「コピー用紙を補充する」「給水タンクの補充」「紙コップの補充」など、皆の共有物に関しては、個々人で臨機応変に雑用をこなすといった暗黙のルールが存在していました。Aさんはそのことを知らずに、周りから協調性がない人と判断され、孤立していった事例です。
実際に職場で起きる例②
ある朝上司と廊下ですれ違い、「今日はお客さんが来るので応接室を綺麗にしといて」とお願いされました。 普段の速度を少し早めて、14時30分になり、応接室の掃除に取り掛かかろうとしたとき、お客様と鉢合わせてしまいました。
今回のケースでは「お客様は今日の何時に来るのか」ということを聞けずに、鉢合わせるということになってしまいました。また、自分のルーティンを崩すことが出来なかったというASDの特性もある事例です。
発達障害でコミュニケーションが困難になる要因
発達障害の中でも特にコミュニケーションに困難を生じるASDのどのような特性が原因となっているのか、3つに分けて解説していきます。
感情や場面の読み取りが苦手
コミュニケーションには、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」の2パターンがあり、表情や視線、身振り手振り、声のトーンといった非言語コミュニケーションが伝達手段としては大半を占めています。
しかしASDの方の特性上、表情の変化や仕草などから、相手の心情や意図をくみ取ることに困難を抱えています。他者が冗談を言って場を和ませようとしても、冗談が理解できずに、言葉通りの意味で解釈してしまうこともあります。
また会社内での「暗黙のルール」についても理解しづらい傾向にあります。
曖昧な表現の理解が苦手
仕事上や日常生活においてよく使われる「ちょっと」や「適当」、「だいたい」という表現の理解が苦手なケースが多いです。その結果、さじ加減が分からず、パニックになりフリーズしてしまうケースがあります。また、自己判断で作業をすることでミスに繋がり、間違いを叱責されてしまうという悪循環が生じることもあります。
人間関係を築くのが苦手
上記でもあるように、ASDの方は曖昧なことに対する理解が難しい傾向にあるため、言葉だけでなく、対人関係や社会関係といった目に見えない曖昧なものに対する理解が苦手なケースが多いです。
初対面の人にプライベートな個人的な悩みを相談して警戒心を持たれたり、職場での上司や部下の上下関係が分からずに、上司に失礼な態度をとって怒られてしまったりすることもあるようです。
発達障害の人とコミュニケーションを上手く取る方法
コミュニケーションは一人で成り立つものではありません。そのため、発達障害の人がコミュニケーションをうまくとるためには、周りの人が理解をして、本人と話し合い、それぞれで工夫することが大切になってきます。
本人の関わり方
ここでは、本人ができる対処法を挙げていきます。
自分から確認する
上記でもあげたように、ASDの方の特徴として「曖昧な表現が理解できない」「感情や場面を読み取ることが苦手」といった点があります。
例えば「ちょっといつもより少な目」という指示ならば、具体的に「どれくらい」「なぜ」といった質問で、定量的かつ流れや背景を明確にしてズレをなくすという意識が大事です。
どういった表現が自分は理解しづらいのか、どのように質問することで指示理解できるのかを自分で知っておくことが大切です。
自分の中でマニュアルを作る
社内マニュアルは、その業務を行う全員が理解できるように作成されています。しかしその中には、作成者の感覚が組み込まれていることが多く、曖昧な表現がなされています。そのため、マニュアル通りに業務を遂行していても、混乱したり、自己判断で解釈した結果ミスに繋がったりすることもあります。
このようなことが起きないためにも、会社の人にも確認しながら、自分専用のマニュアルを作成することも1つの方法です。
また社内の暗黙のルールで行われている業務についても、自分なりのマニュアルに追記しておくことで仕事の1つという認識を持って行動することができます。
周囲の関わり方
ここでは周囲の人ができることについて挙げていきたいと思います。
具体的な指示を出す
ASDの人は抽象的な指示を理解するのが苦手な人が多いため、指示や確認の際は定量的に伝えることが大切になります。
例えば、会議の準備をしてほしい時には、「14時から営業会議を会議室Bで行います。資料を10部印刷して、会議室に用意しておいてください」というように、相手が誤解しないように具体的に指示を出すようにしましょう。
背景を説明する
想像することが苦手な人が多いため、指示や確認の際には理由や目的、手順などを具体的に説明することが大切になります。
例えば「この資料の間違いがないか確認しておいて」の指示だと、「間違いは2か所ありました」と間違いの数のみを報告してしまうことがあります。しかし指示を出した人からすると、「間違いがあれば内容を変更しないといけない、もしくは誤字であれば直してほしい」といった意図を汲んで指示しています。ASDの方は、言葉をそのまま受け止めてしまう特性があるので、指示の意図も具体的に伝える必要があるのです。
まとめ
それでは、最後に本日のまとめです。
- コミュニケーションで問題を生じやすいのは自閉症スペクトラム(ASD) 「感情や場面の読み取りが苦手」「曖昧な表現の理解が苦手」「人間関係を築くのが苦手」という障がい特性が要因
- コミュニケーションを取るうえで、本人が取り組む対処法 ・自分が理解できるように質問をする ・自分の中でマニュアルを作成する
- 周りに求めたい配慮(周囲の人との関り方) ・指示は具体的に出す ・手順や状況など、背景を説明する