こんにちは!就労移行支援事業所CONNECTの石垣です!(^^)!
本日は「発達障害のある方でも向いている仕事・できる仕事はある」について解説します。
- 発達障害と診断されたが、就職したい人
- 発達障害で、自分に向いいてる仕事がよくわからない人
- 知り合いが求職中の発達障害で、何か助けになる情報を探しておられる人
発達障害のある方でも向いている仕事・できる仕事はある!
発達障害とは大きく三つのタイプがあります。
●ADHD(注意欠如・多動性障害)
●ASD(自閉症スペクトラム障害)
●LD(学習障害)
では、ひとつずつ解説していきましょう!
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHDとは、Attention Defict Hyperactivity Disorderの略称です。日本語では「注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性」と訳されています。この名称に表されているように、「Attension Deficit」(=不注意、注意欠陥)はADHDの中心的な特徴の一つです。
ADHDがある人の「不注意」は気を抜いたり、怠けたりすることで起こるものではありません。逆に本人の意に反し、注意力や集中力をコントロールする事が出来なってしまうものなのです。その二次障害として忘れ物が多く、大切なものを失くしてしまう事もよくあります。
そしてもう一つの特徴は「多動性・衝動性」です。本人は自覚が無いのですが、落ち着きのなさや衝動的な言動が目立ちます。その為、時間をかけて考え計画を立てたりする事が苦手です。複数の課題を与えられると、自分が興味の興味のある仕事を先に手を付けます。
逆に面倒な仕事はやりたがらない。と言った結果になることがあります。又、思いついたことをすぐ言いたくなるので、失言が多く、他の人の話に割って入ることがあります。その為、人間関係に不用意な溝を作ってしまう事があります。
これらの二つの特徴を併せ持つ方もいれば、どちらかの特徴のみを持つ方もいます。ADHD全体の8割が前者の「混合型」のタイプだと言われています。
ASD(自閉症スペクトラム障害)
ASDとは、Autism Spectrum Disorderの略称で、日本語では「自閉症スペクトラム症」と訳されています。スペクトラムとは集合体という意味です。自閉症の仲間には「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などのいくつかの種類があります。
ところがいくつかの種類に分かれていても、対人関係の難しさや、こだわりなど自閉症の特徴を持つことは共通しています。そこで、近年一つの集合体として、対応しようと考えられるようになってきました。
ASDの特性は主に二つあります。一つ目は「社会性・コミュニケーションの障害」です。その場の雰囲気を読むといった事が苦手なので、浮いた存在になりがちです。結果として、相手との適切な距離がつかめません。結果、人間関係を構築するのに大変な労力を要します。
二つ目は「行動のパターン化・強いこだわり」からくる「想像力の障害」です。物・場所・時間・予定外のことに対して柔軟に対応することがなかなかできません。仕事内容など、いつも同じ状態であることを望み、急な変更があると強いストレスを感じます。
これは、物事の流れを把握し、先を想像するのが困難という特性からくるものです。又、妥協することが難しく、相手を困惑させてしまう事があります。結果、上記と同様、人間関係の構築に労力を要します。
LD(学習障害)
LDはLeading disabilityの略称で、日本語では「学習障害」と呼ばれています。知的な遅れではありません。読む、書く、計算する等の基本的な学習能力のうち、一つか二つ以上の能力を習得するのが困難な状態をいいます。その為、学校などでいじめからの不登校など、二次障害になる場合もあります。
発達障害の方の特徴は、他のものと比べて顕著に出やすい傾向があります。しかしながら、例えばADHDの代表的な特徴である多動性は、別の言い方では行動力があるという事になります。このように一つの特徴は、見方によって長所と短所両方の側面を備え、一概に障害であるとは言えません。
それでは、各障害の特徴である長所と短所を見ていきましょう!
発達障害の長所は?
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の長所
ADHDの長所はズバリ、自由な発想で、新しいことも積極的にチャレンジすることが出来るところです。くよくよせずに次の行動をスピーディに決断でき、行動力もあります。尽きることのない好奇心と柔軟な発想で、新しいことも積極的にチャレンジすることが出来ます。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の長所
ASDの長所は、ズバリ真面目さ、記憶力です。決まったことを飽きることなく、持続的な集中力を保持し続けることが出来ます。特に自分の興味のある分野に関しては並外れた集中力を発揮します。記憶力も高い方が多いです。
LD(学習障害)の長所
LDの長所は、ズバリ他人にない優れた発想力です。人によっては位置や空間などを正しく把握する力があります。例えば、世界的大スターであるトム・クルーズ。彼がディスレクシア(識字障害)であることは、あまりにも有名です。俳優の命でもある台詞は、マネージャーや家族が読まれた物を録音テープに吹き込む→繰り返し聞きなおしながら覚える。という工夫をされているそうです。本来の才能に加えて、弛まぬ努力を繰り返し、素晴らしい作品を世にリリースし続けているのですね。
発達障害の方の短所は?
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の短所
ADHDの短所は、注意散漫、衝動性です。例えば気が散りやすく、不注意からのケアレスミスが多いこと等です。又、単純作業にすぐ飽きてしまい、人の話に割り込んでしまいます。結果、不要な人間関係のトラブルを自ら招いてしまう事があります。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の短所
ASDの短所はこだわりが強く、臨機応対が苦手な事です。例えば強いこだわりの為、仕事の納期を守れない。臨機応変な対応が苦手な為、抽象的な指示の理解が難しい。結果、一緒に働く人に余分なストレスを与えてしまう事があります。
LD(学習障害)の短所
LDの短所は読み書き計算能力です。例えば文章を読む力が弱い「読字障害(ディスレクシア)」は「マニュアルを読んで進めることが難しい」ことがあります。計算が苦手な「算数障害(ディスカリキュリア)」は「計算を使う業務が難しい」ことがあります。その他、「書字障害(ディスグラフィア)」は「メモを取るのが難しい」ことがあります。
このように、発達障害の特性からくる短所は、仕事において大きな困りごとになりやすい現状があります。その為、自分にどのような症状があるか、まずは自分を知ることが大事です。
では、発達障害の方に向いている仕事はどのようなものがあるのかを見てみましょう!
発達障害のある方に向いている仕事は?
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHDの方は、ズバリ「行動力」・「感受性」・「発想力」が活かせる仕事です。例えば、デザイナー・プランナー・営業職などです。
Sさんは、仕事の集中力が継続しないADHDでした。事務職が全く適正に合っておらず単純ミスが絶えなかったそうです。当時は金融機関に勤めておられ、肝となる計算が苦手で生産性は同期の1/10だったそうです。
しかし、自分の障害に気づいた後に始めた営業の仕事は、特性に合っていたようです。持ち前の行動力と発想力、お客様と対面している時だけに限った集中力。これらを発揮することにより、見事な成績を収め続け現在は売れっ子営業マンとして大活躍されています。
ASD(自閉症スペクトラム障害)
ASDの方は、「ルーティン」・「寡黙(コミュニケーション少なめ)」・「集中力」が活かせる仕事です。例えば、プログラマー・デザイナー・校正校閲者などです。
Mさんは、子供の頃から同世代と上手くコミュニケーションをとることが出来ませんでした。学校生活にもつまずき、後にASDと診断されました。
学校に行くのが嫌で引きこもっていましたが、その間に出会ったのがプログラミングでした。ルールが決まっていて、書けば書いたとおりに動くその作業は彼の特性に合っていました。
なんと小学五年生でフリーソフトを作成できる腕前になっていました。その後、紆余曲折の中学校時代からIT系の専門学校へ進学。在学中は自分が作ったプログラムが雑誌に掲載。IT系の国家資格に4つ合格。ついには首席で卒業という充実した学生時代を過ごしました。
その後、IT系の会社に就職。プログラムから講師として公演を行うなど、マルチな活躍を現在続けておられます。
LD(学習障害)
LDの方は、「家事的」・「機械操作」・「ノルマに追われないもの」が向いています。例えば、清掃や食堂補助等の訓練で身につく仕事です。又は農業や林業・大工・左官など、自然を相手にする仕事、手に職系です。自分が極端に苦手な分野は避け、アプリやツールを用いる。又は障害者専門の転職エージェントなどを利用してみましょう。
現在講演家の南雲明彦さんが読字障害(ディスレクシア)と診断を受けたのは21歳の時でした。それまでは、どうして自分には文字がゆらゆらと揺らいで見えるのか全く分かりませんでした。当時の人生は出口のないトンネルにいるような辛く理不尽なものであったと仰っています。
しかし、自分の特性を知ってからは、自分と同じように苦しんでいる人に少しでも役立ちたいという強い思いを持たれました。その後、当時は珍しかった実名でのLD公表、テレビ出演などをされました。現在はテレビ出演にとどまらず、講演、執筆活動など精力的に続けられ東奔西走の日々を過ごされております。
では、発達障害の方に向いてない仕事はどのようなものがあるのかを見てみましょう!
発達障害の人に向いていない仕事は?
どの人間にとっても得手不得手があるように、発達障害の方にも向いてない仕事はあります。しかし、それは全人類共通事項です。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHDの方は、不注意、うっかりミスが命取りになる仕事は不向きです。例えば、医師、パイロット。又、マルチタスクを要する秘書や事務職も苦手分野でしょう。
ASD(自閉症スペクトラム障害)
ASDの方は、コミュニケーションが必要な仕事は不向きです。例えば 販売接客業、テレフォンオペレーターなどです。又、マルチタスクを要する一般事務職も苦手分野でしょう。
LD(学習障害)
LDの方は、特性によってできる仕事・できない仕事が大きく異なるため、自身の苦手分野がメインになる仕事は避けた方が良いでしょう。例えば、読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」の方の一般事務職、ライターなどです。また、「算数障害(ディスカリキュリア)」の方は計算業務が苦手であるため、会計士のお仕事などは避けた方が良いでしょう。
発達障害のある方に向いている仕事の探し方は?
発達障害は、人により出来ることと出来ない事の違いが大きい点が特徴です。その特性は人により様々であることから、自分と向き合って、できる仕事、得意な仕事、できない仕事、向いていない仕事を把握すること(自己理解)が大切です。
その上でハローワークや転職・就職サイトで仕事を探すことも一つの手です。それ以外にも障害者専門の就労移行支援機関に相談するのも一つの方法かもしれません。
まとめ
では、最後にこの記事のおさらいです。
- 発達障害には各々特性があり、特性の強みに沿った仕事を見つける事。
- 発達障害者専門の就労移行支援機関に相談するのも選択肢に入れる事。