こんにちは!
就労移行支援事業所CONNECT梅田の山本です。
皆様の中で「アスペルガー症候群だけど障害者手帳を取得できるの?」と悩んでいる方はいらっしゃいますか?
また、「障害者手帳を取得するメリットやデメリットは?」という疑問を持っている方もいらっしゃるかと思います。
この記事ではアスペルガー症候群で障害者手帳を取得するべきか悩んでいる人に向けて解説します。
- 障害者手帳について知りたい人
- 障害者手帳を持つことのメリット・デメリットを知りたい人
- アスペルガー症候群でも障害者手帳が取得できるか知りたい人
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そもそも障害者手帳とは?
障害者手帳は3種類あり、
●療育手帳(知的障害)
●精神障害者保健福祉手帳(精神障害・発達障害)
が存在します。
いずれの手帳も障害者総合支援法の対象となり、様々な支援を受けることができます。
障害者手帳を所持することで障害があることを証明でき、各種の割引やサービスを受けることが可能です。
また、精神や発達障害の方は精神障害者保健福祉手帳の取得が可能であり、知的障害の方は療育手帳の取得が可能です。
障害者手帳を取得していても、必ず企業に開示する必要はありません。
そのため、周囲の方に障害者手帳を取得していることが知られることも無いので安心してください。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神状態にあることを認定するものです。
何らかの精神障害により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方が対象とされています。
精神障害者保健福祉手帳の等級は1級~3級まで存在し、数字が若くなるほど症状が重いとされています。
また、精神障害者保健福祉手帳を取得する際は、初診日から6カ月以上が経過している必要があります。
日常生活で生じる支障の目安は以下のようになります。
●1級:常に誰かの援助がなければ日常生活を送ることが難しい
●2級.時々誰かの援助がなければ日常生活を上手く送ることができない
●3級.日常生活は送れるが、手順や状況が変わると対処が困難なケースが存在する
精神障害者保健福祉手帳の対象となる精神障害は以下のように定められています。
●統合失調症
●うつ病、躁うつ病などの気分障害
●てんかん
●薬物依存症
●高次脳機能障害
●発達障害(自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害等)
●その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、一定程度の身体障害があることを認定するものです。
日常生活や社会生活で生じる支障の程度や症状により、身体障害者手帳の等級が存在します。
身体障害者手帳は1~7級までの等級に分かれており、6級以上の等級に対して身体障害者手帳が交付されます。
対象となる身体障害は、以下のように定められています。
●聴覚や平衡機能の障害
●音声機能、言語機能、そしゃく機能の障害
●肢体不自由
●心臓やじん臓、呼吸器の機能の障害
●ぼうこうや直腸の機能の障害
●小腸の機能の障害
●ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害
取得の流れ
精神障害者保健福祉手帳と身体障害者手帳の申請は以下の流れで手続きを行います。
1.各自治体の障害福祉窓口などへ相談を行い、申請に必要な書類や手順を確認する
2.お住いの地域に存在する指定医から診断書を貰う
3.申請に必要な書類や本人確認書類、指定医からの診断書を揃えて申請窓口へ提出する
精神障害者保健福祉手帳と身体障害者手帳の交付は、上記申請後の1~2ヶ月程度で発行されます。
また、障害の都合などにより、本人からの申請が難しい場合は、家族や医療機関の職員が代理で申請することも可能なケースが存在します。
しかし、障害者手帳の交付手順はお住いの自治体により異なるケースが存在するため、申請方法に関してはお住まいの自治体にある障害福祉課などで相談されるのが一番安心になります。
療育手帳
療育手帳は、知的障害があると認定するものです。
児童相談所や知的障害者更生相談所にて、知的障害があると判定された場合に交付されます。
療育手帳の等級は以下のように区分されております。
●A:重度
●B-1:中度
●B-2:軽度
地域によっては療育手帳の等級が重度とそれ以外に区分されているケースも存在します。
また、自治体によっては療育手帳の名称が異なり、愛の手帳や愛護手帳、みどりの手帳と呼ばれている地域もあります。
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取得の流れ
療育手帳の申請は以下のように手続きします。
1.各自治体の障害福祉窓口などへ相談を行い、申請に必要な書類や手順を確認する
2.児童相談所や知的障害者更生相談所から判定を受けている指定医から診断書を貰う
3.申請に必要な書類や本人確認書類、指定医からの診断書を揃えて申請窓口へ提出する
療育手帳の交付は、上記申請後の2ヶ月程度で発行されます。
また、療育手帳は申請者の年齢によって判定を行う機関が異なります。
申請者の年齢が18歳未満の方は児童相談所、18歳以上の方は知的障害者更生相談所にて行われます。
18歳以上の方が初めて療育手帳の申請を行う際は、幼少期から知的障害の傾向があったかなどを調べた後に判定を行います。
アスペルガー症候群で障害者手帳を取得するメリット・デメリット
障害者手帳を取得するメリットは様々なものが存在します。
例えば、障害者手帳の取得は社会的サービスを受けることができ、生活の水準が上がるため、社会で暮らしやすくなるというメリットがあります。
それに加え、障害者手帳の取得は任意とされているので、受けられるサービス内容を加味した上で取得することが可能です。
ここからは、障害者手帳を取得するメリットとデメリットについて解説していきます。
【関連記事】発達障害で障害者手帳は取得可能?取得方法や取得するメリット・デメリットを解説!▶
メリット
障害者雇用に応募することが可能
障害特性に対しての配慮事項を企業へ伝えることで、障害のある方がより安定した就労を目指すことができるメリットがあります。
障害者手帳による割引
障害者手帳を所持している場合、公共料金や公共機関の割引、助成金の制度、税金の軽減など、様々なサービスを受けることが可能です。
しかし、障害者手帳の等級や、現在の所得、お住まいの自治体などによりサービス内容は異なります。
主なサービス内容は以下のようになります。
●公共機関の割引(JR・バス・航空会社など)
●医療費に対する助成
●公共施設の割引(動物園・博物館など)
●NHK受信料免除
●公営住宅の優先入居
●携帯電話の基本料金割引
デメリット
障害者手帳取得におけるデメリットは、申請手続きに時間を要するくらいであとは殆どありません。
障害者手帳の取得申請や更新の手続きの際は、必要な書類や顔写真などを用意する必要があり、実際に手元に届くのは1~2ヶ月を要することが多いです。
そのため、障害者手帳の取得は任意なので、申請をしていないにもかかわらず障害者手帳が勝手に自宅へ送られてくることはありません。
また、障害者手帳を持っているからと言って、周囲の方に障害があることは自分から言いださない限り伝わる事はありません。
障害者手帳は、申請や更新に時間を要しますが、様々なメリットが受けられるため、自身の現状も含めて取得の判断をしてください。
アスペルガー症候群でも手帳の取得は可能?
ここまでは障害者手帳について、またその申請方法について解説してきました!
それでは、ここからは本題のアスペルガー症候群の方への手帳取得について解説していきたいと思います!
アスペルガー症候群の方は手帳取得が可能
結論から申し上げると、アスペルガー症候群の方でも手帳の取得が可能になります!
アスペルガー症候群は、発達障害の中の自閉症スペクトラム(ASD)に分類される症状です。
発達障害の検査は、WAIS-IV(知能検査)などが有名ですが、ASDの場合はDSM-5と呼ばれる診断基準に基づいて診断されます。
従って、自閉症スペクトラムとして診断されることで手帳取得が可能になります!
但し、手帳取得の可否についてはお医者さんの判断になりますので、アスペルガー症候群の特徴が見られるからといって全員が取得できるわけではありません。
中には「隠れアスペルガー」と呼ばれるようなグレーゾーンの方もおられ、明確に診断が出ないケースがあります。その場合は手帳申請に必要な診断書が入手できないことになりますので、手帳を取得することができなくなります。
「隠れアスペルガー」については、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください!
【関連記事】軽度のアスペルガー症候群│隠れアスペルガーとは?仕事の影響、症状など▶
手帳取得までの流れ
ここからはアスペルガー症候群の方の具体的な手帳取得までの流れを解説していきます!
①医療機関での検査
まずは発達障害の検査・診断を行っている医療機関を探しましょう。
一部の都道府県や市区町村が地域の医療機関をまとめたリストを作成している場合があるので、そちらを活用していただくのも良いと思います。
大阪、兵庫の場合だと以下のように案内されています。
検査については、先程お伝えしましたWAIS-Ⅳ(正式名称:ウェクスラー式知能検査)をはじめ、以下のような検査があります。
●スクリーニング検査
●心理検査
●知能検査(ビネー式、WAIS-IV,WISC)
●発達検査(新版K式など)
●人格検査(MMPI、Y-G、CMIや作業検査法、ロールシャッハテストなど)
検査の詳細については、関連記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にして下さい!
【関連記事】発達障害の検査方法は?検査を受ける機関や検査の流れなどを詳しく解説!▶
ちなみアスペルガー症候群の診断基準とされているDSM-5の内容は以下になります。
- ①複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
- ②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
- ③発達早期から1,2の症状が存在していること
- ④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
- ⑤これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
さらに、知的障害の有無、言語障害の有無を明らかにし、ADHD(注意欠如・多動症)との併存の有無を確認することが重要です。DSM-IVでは認められなかった自閉スペクトラム症とADHDの併存が、DSM-5では認められています。また、他の遺伝学的疾患(レット症候群、脆弱X症候群、ダウン症候群など)の症状の一部として自閉スペクトラム症が現れることがあります。
1と2の症状の程度は様々であり、いろいろな併存症も見られることから、小児神経科・児童精神科・小児科医師による医学的評価は非常に重要です。
ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について【厚生労働省公式サイトより抜粋】②申請~取得まで
申請の流れは冒頭でも説明させていただきましたが、具体的に申請に向けて必要なものを含め改めて解説していきたいと思います!
②医師の診断書(または精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等の写し)
③本人の写真(縦4㎝×横3㎝、申請の時から1年以内に撮影したもの)
④マイナンバーが分かるもの(個人番号カードか、通知カード+運転免許証やパスポートなどの身元確認書類)
準備が整ったら市町村の担当窓口に申請に行き、申請後、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターで審査にかけられます。審査が通れば約1~2ヶ月程度で手帳が交付されます。
障害者手帳の取得の流れについては、関連記事にて詳しく解説しておりますので、参考にして下さい!
【関連記事】発達障害で障害者手帳は取得可能?取得方法や取得するメリット・デメリットを解説!▶
まとめ
- ①障害がある方は障害名に沿った障害者手帳の申請が可能
身体障害者手帳(身体障害)
療育手帳(知的障害)
精神障害者保健福祉手帳(精神障害・発達障害) - ②障害者手帳のメリット・デメリット
メリット:障害者雇用、公共料金や公共機関の割引、医療費に対する助成など
デメリット:申請や更新の期間が1~2ヶ月程要する - ③申請の流れ
1. 各自治体の障害福祉窓口などへ相談を行い、申請に必要な書類や手順を確認する
2.診断書を貰う
3.申請に必要な書類や本人確認書類、指定医からの診断書を揃えて申請窓口へ提出する - ④アスペルガー症候群でも手帳取得は可能(但し、医師の判断による)