こんにちは!
就労移行支援事業所CONNECT梅田の山本です。
皆様の中で「障害者雇用と一般雇用は何が違うの?」と悩んでいる方はいらっしゃいますか?
また、「そもそも障害者雇用って何?」という疑問を持っている方もいらっしゃるかと思います。
この記事では障害者雇用を受けるべきか悩んでいる人に向けて解説します。
- 障害者雇用で働くための条件が知りたい人
- 障害者雇用のメリット・デメリットを知りたい人
- 障害者雇用で働いている人の事例が知りたい人
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障害者雇用制度とは?
障害者雇用制度とは、「障害者雇用促進法」に基づき、障害を持っている方の雇用を安定させるために企業へ定められた制度になります。
企業が雇用基準を能力や適性のみとしている場合、障害を持っている方が不利になるケースが少なからず発生します。
そこで、障害による社会的格差をなくし、障害をもっている方と障害を持っていない方の雇用機会を平等にする必要があるため、障害者雇用制度が定められました。
障害者雇用促進法
障害者雇用促進法とは、障害を持っている方の職業生活の自立や安定を図るために定められた法律です。
障害者雇用促進法の目的は、「障害者の職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もって障害者の職業の安定を図ること」とされています。
そのため、障害を持っている方が分け隔てなく個人として尊重され、障害を持っていない方とも平等に働ける社会を実現するための理念が掲げられています。
そして、障害を持っている方が、能力や個性を発揮できる就労環境を確保するために障害者雇用促進法は定められています。
障害者雇用率制度(法定雇用率)
障害者雇用率制度とは、国や民間企業、地方公共団体に対し、障害を持っている方の雇用率を一定以上の割合にしなければならないと定めている制度です。
障害者雇用促進法に基づいた現在の法定雇用率は2.3%とされており、従業員が43.5人以上雇用している企業は、障害を持っている方を1人以上雇用する必要があります。
障害を持っている方が雇用される機会は、障害を持っていない方と比べても少なくなってしまいます。
そのため、障害を持っている方の雇用率を一定以上の割合に義務付けることで、障害を持っている方の雇用率を均等にすることを目的としている制度が障害者雇用率制度です。
また、国や民間企業、地方公共団体が障害を持っている方の雇用率の割合を達成しなかった場合、納付金が徴収される仕組みです。
そのため障害者雇用率も年々増加しており、精神障害の方も対象になっていることから、障害者雇用が追い風になってきていると考えられます。
そもそも障害者雇用とは?
障害者雇用とは、障害を持っている方の能力や適性、障害特性に合った就労ができるよう企業や自治体が障害を持っている方の雇用を行う制度です。
障害を持っている方が安定して就労するため、個々の配慮事項に基づいた環境を企業や自治体は提供することが義務になっています。
障害者雇用の対象者とは?
障害者雇用は、「障害者手帳」を所持している方が対象者となります
障害者雇用の対象者は、障害者雇用の求人以外の一般求人にも応募することができるため、求人を応募する幅が広がるというメリットも存在します。
障害者手帳の申請方法
障害を持っている方は、「障害者手帳」を取得することが可能ですが、障害者手帳の申請を行うには初診から6カ月以上経過しており、医師の診断書も所持している必要があります。
障害者手帳の種類は、
●精神の障害をお持ちの方は、精神障害者保健福祉手帳
●知的障害をお持ちの方は療育手帳
の3種類に大きく分けられ、お住いの自治体より発行されます。
また、障害者手帳の申請には以下のものが必要になります。
●診断書または障害年金証書の写しなど
●顔写真
●マイナンバーがわかるもの
障害者手帳の申請や相談については、お住いの自治体にある障害福祉窓口にて行うことが可能です。
「障害者手帳」については、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください
【関連記事】精神障害者保健福祉手帳とは?対象者、必要書類、申請手順をわかりやすく解説▶
求人応募までの流れ
障害者雇用に応募する方法は大きく分けて、
●求人サイト
●人材紹介者事業(転職エージェント)
の3種類に分けられます。
公共職業安定所(ハローワーク)
公共職業安定所(ハローワーク)は、求職者と企業の仲介役となり求職者へ職業の斡旋を行います。
一般求人は勿論のこと、障害者雇用の求人も探すことができます。
また、ハローワークで自身の情報を登録することにより、実際に足を運ばなくてもサイトから求人を検索することも可能です。
求人サイト
求人サイトとは、各地の求人情報をまとめたサイトです。
気に入った求人があった場合、その求人サイトから応募することが可能です。
また、障害者雇用を扱っている求人サイトもあるため、幅広い職種から求人を探すことができます。
「Indeed」や「doda」といった求人サイトが有名です。
人材紹介者事業(転職エージェント)
転職エージェントとは、求職者と企業のマッチングを図ることで求職者を就職へ導くサービスです。
転職エージェントを通じて求職者が就職をすることで、企業から紹介手数料を受け取る仕組みになっています。
求職者のニーズを汲み取った後、転職エージェントがそのニーズに沿った企業を紹介してくれます。
その後、求職者と企業の双方が納得しマッチングした場合は就職に至ります。
一般雇用と障害者雇用の違い
一般雇用とは、求人に記載している応募条件を満たしていればどなたでも応募できる求人です。
従って、求人件数も多く幅広い職種に応募することが可能です。
しかし、障害を持っている方を前提としている雇用ではないため、障害特性に沿った配慮が受けられない可能性が高いです。
合理的配慮の有無
障害者雇用で就職する際に、自身の障害特性に基づいた「働く上で必要な配慮」を企業に求めることができます。
企業に求める配慮は配慮事項と呼ばれており、「この配慮をして貰えるのであれば、自分の能力を企業で活かすことができる」という障害特性に基づいた自身の説明書のようなものです。
配慮事項は、企業側が障害特性をしっかりと理解でき、求められた配慮事項を実現できる具体的なイメージが行える内容を伝える必要があります。
伝えられた配慮事項を企業側が考慮し、職場での配慮の可否や障害理解によっては採用率が大きく変化します。
また、自身の障害特性を理解してもらえる企業で働くことができれば、安定した就労にも繋がってきます。
一般雇用でも配慮をもらうことが可能
一般雇用でも、障害があることを企業側に開示して配慮事項を求めることが可能です。
障害者雇用と同様に、障害特性に基づいた配慮事項を企業側に求めて一般就労することをオープン就労と呼びます。
そのため、企業側からの配慮をもらいながら一般就労の仕事に就くことが可能です。また、障害があることを企業側に伏せて一般就労することをクローズ就労と呼びます。
オープン・クローズ就労のメリットとデメリットは?
オープン就労のメリットとデメリット
メリットとしては、自身の障害特性に沿った理解を周囲から得られることや、配慮事項として伝えている配慮を受けることができることです。
そのため、定期的に通院が必要な方も、企業側が障害のある状況を理解しているため比較的休暇が取りやすい環境になります。
また、オープン就労の場合、就労移行支援事業所などの支援機関を利用することが可能であり、企業に安定して就労するための支援を受けることも可能です。
デメリットとしては、クローズ就労と比較して求人の数が少なく、給与も低いケースが多いです。
また、オープン就労は障害者雇用ではないため、職場の全ての方が障害に対して理解を持っている訳ではありません。
クローズ就労のメリットとデメリット
メリットとしては、障害を持っていない方と同様の給与や待遇で就労することが可能であり、求人の数も多いため職種を自由に選択することが可能です。
デメリットとしては、障害があることを伏せているため、自身の障害に対する理解が周囲から得られず配慮も受けられません。また、定期的な通院による休暇が取りにくいといったこともあります。
障害者雇用で働くメリット
障害者雇用のメリットは、自身の障害特性に沿った配慮を受けられる環境を提供してもらえることです。
自身の配慮事項に基づいた環境で就労できるため、体調の相談や通院による相談を行うことが可能であり、安定した就労に繋がる可能性が高いです。
また、職場によっては同僚が障害者雇用で入社されている方もいるため、周囲から自身の障害に対する理解を得ることも可能です。
それでは、配慮事項や環境調整について詳しく見ていきましょう!
配慮を受けることができる
企業から受けることができる主な合理的配慮は以下になります。
●大企業の求人が多く、安定した雇用条件で働くことができる
●通院や服薬、休憩、社内設備などの働きやすい環境が多い
●支援機関との連携により悩みなどを相談できる
●急な予定変更は行わず、事前に説明をしてもらえる
●1つの作業が終わってから次の作業指示を行う
●残業が少なく、休暇が取りやすい など
働きやすい環境が整えられている
障害者雇用には、障害を持っている方に対して働きやすい環境が整えられている特例子会社が存在します。
特例子会社とは、障害を持っている方の雇用機会促進や安定した就労を図るため設立された会社です。
特例子会社は、大企業が設立した子会社であることが多く、従業員はほとんどが障害を持っている方であることが特徴です。
一般雇用の企業と比較した場合、特例子会社は障害特性やそれに対する配慮事項を提供できる環境が整っており、周囲からの障害に対する理解も得られやすいため、安心して働くことが可能です。
障害者雇用で働くデメリット
前項では障害者雇用におけるメリットを解説しました。
ここからは、障害者雇用のデメリットについて詳しく解説していきたいと思います!
賃金が低い
障害者雇用は、一般雇用と比較して賃金が低い可能性が高いです。
厚生労働省が行っている障害者雇用実態調査にて、平成30年5月の平均賃金は、
●知的障害 11万7千円
●精神障害 12万5千円
●発達障害 12万7千円
という結果がでております。
また、クローズ就労を含めた一般雇用の平均月収は26万4000円とされており、平均月収の高い身体障害者と比較しても月々4万9000円もの差異があります。
業種が絞られる
障害者雇用は、配慮事項を実現できる職種や企業であれば、障害を持っている方は働きやすい可能性が高いです。
しかし、障害特性に対する配慮環境が整っている職種は限られており、障害者雇用における職種の選択肢が狭まっていることも事実です。
障害者雇用の主な職種は、
●軽作業
●清掃
●エンジニア など
となっております。
スキルアップし辛い
障害者雇用は、一般雇用と比較して、スキルアップがし辛いと言われています。
障害者雇用でのスキルアップがし辛い主な理由としては、
●簡易的な作業が多く、能力を評価される機会が少ない
●「正社員登用なし」と記載された求人が多く、キャリア形成が用意されていない
●障害者雇用の方に対しては、体調に影響が出ないように仕事の負担を減らしている
とされています。
そのため、障害者雇用でスキルアップを行うためには、一般雇用で就労されている方以上にスキルアップを目指し、意識する必要があります。
「障害者雇用のデメリット」については、以下の動画にて詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください
【関連動画】【精神障害】障害者雇用で働くデメリットとは?求人の条件を解説▶
障害者雇用で応募する際のポイント
障害者雇用への応募は、自身が持っている障害に対しての理解がポイントになります。
そのため、自己理解を深めることにより、障害者雇用での採用率も高くなる可能性があります。
配慮事項を明確にする
企業側に提出する配慮事項は具体的であればあるほど安心した環境で従事できる可能性が高くなります。
配慮事項を具体的に企業へ伝えるためには、
●障害特性に対して自分が行っている対策
●企業に求める配慮事項減らしている事の負担を減らしている
の3点を明確にすることが大切です。
これまでの経験や、周囲の方の客観的意見を取り入れることも効果的です。
また、就労パスポートを活用することで、自身の障害特性や配慮事項、アピールポイントなどを支援機関と整理し、企業側へ伝えることが可能です。
障害者雇用で就職した人の事例
就労移行支援事業所CONNECTへ通所されていた方が障害者雇用で就職され、実際に働かれている方の声をご紹介いたします。
ADHD・双極性障害 M.Gさんの事例
M.GさんはADHDと双極性障害を患っておられましたが、コールセンターへ配慮事項を明確に伝えることにより働きやすい環境を掴み取りました。
その後、昇格試験にも合格することができ、自身の音楽活動も継続するなど、順風満帆な就労を行うことができています。
M.Gさんの詳しい就職までのストーリーもぜひご覧ください
【関連記事】コールセンターの対応を極め、英語オペレーターになりたい!音楽活動も充実させたい!▶
統合失調症 K.Hさんの事例
K.Hさんは統合失調症を患っておられ、コミュニケーションに苦手意識を持っておられました。
しかし、自身の障害を理解してくれる企業を研究することにより、K.Hさんは安定就労に繋がりました。
また、K.Hさんは自身の苦手としているコミュニケーションを克服しようと、積極的に挨拶から始め、今では自分が伝えたいことも伝えられるようになりました。
K.Hさんの詳しい就職までのストーリーもぜひご覧ください
【関連記事】新しい部署へ抜擢されました!これからも目標に向かって目の前の仕事に向き合っていきたいです▶
統合失調症 K.Mさんの事例
K.Mさんは統合失調症を持っており、周囲の言動に敏感な症状から精神的に不安定になることから人間関係に関しても悩みを抱えていました。
その状況から抜け出そうと、就労移行支援事業所CONNECT梅田へ通い、就職を目指しました。
就労移行支援事業所CONNECT梅田にて、自身の障害への向き合い方を把握し、支援員と共に体調の安定を目指しました。
その結果、自身の障害への理解が深くなることにより精神的にも安定し、内定を勝ち取ることができました。
K.Mさんの詳しい就職までのストーリーもぜひご覧ください
【関連記事】訓練を通して人と関わる楽しさや難しさに向き合い、成長できた!▶
まとめ
- 障害者雇用促進法により、企業は積極的に障害者雇用を行っている
- 障害者雇用には、合理的配慮という配慮事項を求めることができる措置が存在する
- 障害者雇用への応募は、ハローワーク、求人サイト、転職エージェントで行える
- 一般雇用は求人数が多く、幅広い職種に応募可能だが障害に対する配慮は受けることができない
- 障害者雇用は、求人数や給与は比較的少ないが、障害に対する配慮を受けることができる
- 障害を開示して就職するオープン就労であれば一般雇用でも配慮を受けることができる
- 障害者雇用は、自身の障害理解が大切なため、配慮事項を明確にすることが重要