こんにちは!
就労移行支援事業所CONNECT梅田の山本です。
皆様の中で、「普段から人の話が聞き取りにくい」という方はいらっしゃいませんか?
また、聴覚情報処理障害(APD)をお持ちの方で
・そもそも聴覚情報処理障害(APD)ってなに?
・聴覚情報処理障害(APD)の対策はどうすればいいの?
といった悩みを抱いている方も多いと思います。
今回は、聴覚情報処理障害(APD)について解説していきたいと思います!
- APDの対策について知りたい人
- 発達障害の方で、人の話が聞き取りにくいと感じる人
- APD(聴覚情報処理障害)の症状について知りたい人
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APDとは?
APDとは、聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder)を指しており、英語名称の頭文字をとってAPDという略称が使われています。
音は聞こえているのに会話が聞き取りづらいと感じた際、聴覚情報処理障害が疑われます。
APDは「中枢性聴覚情報処理の困難さによって、難聴に似た症状を呈する状態」と定義されているものの、明確な区分が難しいため、未だはっきりと解明されていません。
脳の中枢神経に何かしらの問題があり、音を脳で処理するため、話の内容を理解することが難しいと言われています。
また、患者数は推定240万人にものぼると言われており、日本人の約2%に該当します。
APDの症状
APDの主な症状として、
・聞き返しや、聞き間違いが多い
・早口や小さな声などは聞き取りにくい
・長い話を聞くときは注意力が散漫になる。
・音は聞こえているが、言葉や意味を理解できない
・言語発達に影響し、言語遅延を持っていることがある。
・雑音のある環境や複数人の会話になると話の内容がわからなくなる
という症状が見られます。
しかし、聴力には問題がなく、音自体の聞き取りは可能です。
また、IQは通常平均かそれ以上である方も多くいらっしゃいます。
APDの具体例
コンビニで買い物をする場面などでは、顕著に症状が現れます。
一般的な方の場合
APDの方の場合
上記のように部分的に言葉が聞き取れないといった状況が多々あります。
これらの症状が当てはまるからといってAPDとは断定できませんが、複数の項目が当てはまる場合は念のため専門家に相談してみましょう。
APDと発達障害との関係性
APDの要因は、
・脳損傷
・発達障害
・認知の偏り
・心理的な問題
の上記4つと言われております。
しかし、最も多い要因は発達障害と言われており、その割合は55%と半数を占めております。
APDは、発達障害との併存が注目されており、ワーキングメモリの低下などの認知的な偏りが要因という方が多い状況にあります。
ワーキングメモリとは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し処理する脳の働きの一つです。
発達障害の方は「聴覚的なワーキングメモリの数値が低い」という傾向にあるデータも存在するため、APDと発達障害は深く関係していると言われています。
仕事におけるAPDの対策とは?
APDの症状として、頑張って話を聞こうとしても理解できない事が多々あるため、仕事に関しても支障が出てきます。
そのため、「さっきも言わなかったっけ?」、「何回言えばわかるの?」、「ちゃんと聞いているの?」などの誤解を受けることが多く、退職に陥るケースも存在します。
また、職場によっては口頭でのやり取りが多い、スピード感が求められるなどで心身ともに疲れやすく、鬱病などの二次障害が生じる可能性もあります。
上記についての対処法として
・雑音を抑制する
・視覚情報で言葉を認識する
・騒音・雑音がない場所を選ぶ
・補聴器・集音器などの補聴援助システムの利用
という方法があげられます。
雑音を抑制する
会話が聞き取りにくい原因として、周囲に雑音があることも理由にあがります。
雑音を抑制する方法として、ノイズキャンセリングイヤホンの活用も対策になります。
ノイズキャンセリングとは、聞こえてきた音を調整し、雑音のみを抑制する機能です。
最新のイヤホンには、周囲の雑音を相殺する機能が搭載されており、雑音を抑えることができます。
また、人の声を強調、抑制できる機能もあるため、環境に合わせて対応することも可能です。
視覚情報で言葉を認識する
会話を聞き取ることが苦手ということであれば、スマートフォンの音声認識アプリで音声をテキストに変換するといった対策も有効に働きます。
近年は音声認識の技術も急速に進化を遂げており、精度の高いテキスト変換を行うことが可能です。
そのため、音声認識アプリや、メモに書いてもらうなどの対策により、視覚情報のやり取りでコミュニケーションを円滑に進めることもできます。
騒音・雑音がない場所を選ぶ
静かな環境であれば聞き取りやすさが増し、比較的に会話もスムーズになりやすいです。
そのため、上司からの指示や、人と会話を行う際は、場所にも注意を行い、出入り口が扉で区切られている個室を利用するなどで対策することもできます。
静かな空間で話すことができれば会話に困る状況を回避することも可能です。
補聴器・集音器などの補聴援助システムの利用
最近の補聴器などは、自分の聴力に合わせて聞き取りたい周波数帯域を調整できる機能や、周囲の雑音を抑制する機能、ワイヤレス対応の機器との接続が可能であるなど、機能は多彩になっています。
補聴器は音量調節もできるため、聴力に問題が無いAPDの方でも補聴器を活用することもできます。
また、補聴器は医療機器に該当するため、お試しで使用されたい方は認定補聴器専門店で相談を行いましょう。
まとめ
- APDの方のIQは、通常平均かそれ以上の方も多くいる。
- APDと発達障害が併存している割合は全体の55%と半数を占めている。
- 音は聞こえているが言葉が理解できないといった様々な症状が見られる。
- APDとは、聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder)の頭文字を取ってAPDと呼ばれている。
- 「さっきも言わなかったっけ?」など、仕事場で誤解を受けることが多く、退職に陥るケースも存在する。
- APDの症状に対して、騒音や雑音が無い場所を選ぶという対策を取り、スムーズに会話を行うことも可能。