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特別支援学校とはどのような学校?学習や対象者について詳細を解説!

2023.06.16

病気・障害の特性

こんにちは!

就労移行支援事業所CONNECT(こねくと)の矢野と申します(^^)

近年、障害があってもそれを個性としてとらえる風潮も主流になりつつあります。

しかし、障害があることによって、学習や生活に困りごとを抱えておられることもあるのではないでしょうか?

何らかの障害をお持ちのお子様を育てておられる方の中で、

・子どもに特別支援学校に通ってもらうことを考えているが、どのような環境で過ごすようになるのか分からない…

・特別支援学校はどのような子どもが通うところなのか知りたい!

・特別支援学校と特別支援学級の違いが分かりにくい…

といったお悩みを持っている方もおられるのではないでしょうか。

そこで、今回は特別支援学校について解説していきたいと思います。

この記事は次のような人にオススメ
  • 特別支援学校について知りたい人
  • 特別支援学校への入学を検討している人
  • 障害の影響で学校生活に支障を来している子供さんがいる人

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特別支援学校とは?

特別支援学校とは、心身に障害を持っていたり、大きな病気を患う児童生徒が通う学校のことです。

平成18年6月に「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立したことにより、障害のある方が通う学校の制度が一新されました。以前は障がいの種類により学校が区別されていましたが、改正後は「特別支援学校」という一つのカテゴリーに統合されました。

この制度変更により、学校側が一つの特別支援学校で複数の障害種を対象とすることが可能となりました。

その結果、様々な障害を対象とする特別支援学校が存在する一方で、学校によっては対象となる障害種別が異なる場合も多いです。

詳細な情報を知りたい場合は、各都道府県の教育委員会のホームページを参照してください。

特別支援学校の数

文部科学省の発表によると、特別支援学校の数は平成22年度には1039校だったところ、令和2年度には1149校となっています。つまり、10年間で110校増加していますので、需要があることが伺えます。

ちなみに、特別支援学校には公立のものと私立のものがありますが、私立の特別支援学校は全国でも約10校と限られている状況です。

特別支援学校の目的と学年構成

特別支援学校には幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、幼稚園年少~高校3年生と幅広い年齢の方が対象となります。

学校教育法第72条では、上記の者に対し「幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障がいによる学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること」を目的として設置するとされています。

つまり、障害があっても、特別支援学校に通って授業を受けながら、生活面での自立を目指した支援も受けることができるということです。

学校は子どもにとって、家庭の次に長い時間を過ごす場所になると思います。
また、生活面もしっかりと支援が受けられる点は、生活上の困難があったとしても安心できる点になります。

特別支援学校の入学対象者

特別支援学校の入学対象となるのは、

・視覚障害聴覚障害
・知的障害
・肢体不自由者
・病弱者(身体病弱者)

の方です。
また、入学の対象となる障害の基準については以下の通りになります。

視覚障害者

・両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの

聴覚障害者

・両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のもの

知的障害者

1.知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの

2.知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの

肢体不自由者

1.肢体不自由の状態が補装具の使用によっても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの

2.肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの

病弱者

・慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの

・身体病弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度のもの

(参考:学校教育法)

障害の程度はその方によって異なると思います。

上記に挙げた条件に該当するかは、主治医や担当相談員等の専門家にお尋ねいただくことをお勧めします。

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特別支援学級との違い

では、特別支援学校は特別支援学級と、どのような違いがあるのでしょうか?

特別支援学級とは、障害のある児童生徒のために、小・中学校内に置かれる学級のことです。

「通常学級では少し学習や理解、生活が難しい」という児童を対象に、少人数制のクラスで授業を行い、一人一人に合わせた適切な学習指導を行うことを目的としています。

特別支援学校は「生活上の自立を図ること」、特別支援学級は「個々に合わせた学習教育を行うこと」を目指していることが最も大きく異なる点となります。

児童生徒の定数は、特別支援学校の小中学部は1クラスの人数が6名なのに対し、特別支援学級では1クラスの8名となっています。

従って、普通学級の生徒との交流や、より多くの児童・生徒との交流ができることが特別支援学級に属するメリットだと言えるでしょう。

障害が比較的軽度で、学習面のサポートに重きを置きたい場合は、特別支援学級での対応も考慮しても良いと考えております。

特別支援学校で学べること

特別支援学校では「生活上の自立を図ること」を目的としていますが、学校ですのでもちろん授業もあります

ここでは、特別支援学校での授業内容について解説していきます。

特別支援学校で学べる科目

特別支援学校では、対象者には幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に準ずる教育を施しながら、障害による学習上や生活上の困難を克服するための支援がなされます。

その中で、自立を図るために必要な知識や技能を授けることを目的としています。

障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者の学べる科目としては、小・中・高等学校に準じて設定されています。

近年では、例えばタブレットの拡大機能を用いて教科書を見やすくしたり、読み上げ機能を利用するなど、障害特性に応じたICT機器や補助具の活用等により、学びの環境設定も工夫されています。

次に、知的障害のある児童・生徒が特別支援学校で学べる科目としては、以下の通りです。

小学部

生活、国語、算数、音楽、図画工作、体育の授業

中学部

国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、職業・家庭、(外国語)

高等部

・共通教科;国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、職業、家庭、(外国語)、(情報)
・専門教科;家政、農業、工業、流通・サービス、福祉

※下線は知的障害のある児童生徒に対する教育を行う特別支援学校と小中学校等で構成等の異なるもの
※括弧書きの科目は学校により異なり必要に応じて設定される

(参考:文部科学省「知的障害のある児童生徒の各教科について」)

上記の内容から、通常科目を中心に構成されていることがわかります。

各科目における学習目標や学習する内容は、学力の向上というよりは、「生活で困らないように」といった観点から設定されていることが分かります。

例えば、通常の小学校の算数では、足し算や割り算、図形などをイメージするかと思います。

しかし、特別支援学校小学部の「算数」では、

・物の大小に関心を持つ

・身近なものの長さを比較する

・1日の時を移り変わりに気付く

といった内容の授業を展開していきます。

身近なものを使い、具体的な活動を通して数量や図形などに関する初歩的なことが理解でき、またそれらを扱う能力を育てることを目標としております。

職業とは?

先ほどご紹介した科目の中で、見慣れない「職業」という科目がありましたよね。
ここでは「職業」の科目について解説していきます。

文部科学省では、職業の科目を通して「勤労の意義について理解するとともに、職業生活に必要な能力を高め、実践的な態度を育てる」という目標を掲げています。

具体的な内容としては、「就職前に実習に参加する」、「作業のやり方や使用する道具について学ぶ」科目になります。

清掃に例えると、ホウキ、モップなどの道具について学び、そして実際に学校でホウキの使い方などの作業を行います。その後、実習に行って現場で実践するなど、就職の前段階で学ぶ科目になります。

自立した生活を送るためには、学校を卒業した後に就労することも進路の選択肢に入ってきます。

障害があると、就職して慣れない環境でゼロから全てのことを学び、技術習得をするとなると不安な面もあるかと思います。その点、学校の授業で就労における基礎を学ぶことができるのは安心ですよね。

各教科等を合わせた指導

知的障害者である児童・生徒を教育する場合においての独自の指導形態として、「各教科等を合わせた指導」というものがあります。

知的障害を有している場合、学習上の特徴として、知識が断片的になりやすかったり、実際の生活の場で応用する力に乏しかったりする傾向があります。

そこで、「各教科等を合わせた指導」の導入により、生活に即した場面を通して子供たちが主体的に学習できるよう、各教科等の垣根を超えた形での授業展開をしているのです。そして、具体的な活動を通して、子どもたちが経験の中から自ら学んでいける場面を作っていきます。

「各教科等を合わせた指導」には、小学部~高等部まで一貫して行うものや、小学部や中・高等部のみで行うものがあります。

以下の図から、発達段階の変化に応じた指導内容にしていることが伺えますね。

※画像引用元:知的障害のある児童・生徒を対象とした教育内容・方法の充実事業(教科指導)

遊びの指導

小学部低学年では、遊びの指導が用いられます。ここでは、遊びを学習活動の中心に据えて取り組み、身体活動を活発にし、心身の発達を促していきます

遊びの種類としては、児童が比較的自由に取り組むものから、題材や集団構成などに一定の条件の制約があるものなど様々なものが設定されます。遊びの中での学びだと、机に向かっての学習よりも意欲的に取り組めそうですね。

日常生活の指導

日常生活の指導は、小学部~高等部まで通して用いられる指導形態で、児童・生徒の日常生活が充実し、高まるようになることを目的としています。

例えば、衣服の着脱、洗面、手洗い、排泄、食事、清潔などの基本的な生活習慣を維持していくための内容が含まれます。

また、挨拶、言葉遣い、礼儀作法など、日常生活や社会生活において必要となってくる基本的な内容を指導していきます。家庭での生活だけでは目の届きにくいところや、他者との関わりについても指導してくれるのはありがたいですよね。

生活単元学習

生活単元学習は、小学部~高等部まで通して用いられる指導形態で、児童生徒が生活上の目標を達成したり、課題を解決したりすることを目的としています。一連の活動を複数人で組織的に経験することによって、自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学習する指導形態を用いています。

ここでは、複数人の集団で自分たちで何かやりたい事を発案し、計画し、話し合いや勉強をして、実際の活動を通して成功体験を得てもらうことをします。

例えば、何かの植物を育てる、課外学習を兼ねた遠足に行く、カラオケ大会をしてみる、など、内容は幅広く限定はされません。その活動の中に各科目の要素が含まれるかたちになります。

作業学習

作業学習は、主に中学部から高等部に用いられ、児童・生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄を総合的に学習する指導形態です。

ここでは、科目としての職業・家庭科の内容だけでなく、各教科等の広範囲な内容が扱われます。

作業種目としては、農耕、園芸、紙工、木工、縫製、織物、印刷、調理、クリーニング、清掃、販売、接客当、多種多様です。

学校によって内容は異なりますが、班ごとに分かれてみんなで協力しながら作業を進めることや、社会で必要になる基本的な礼儀やマナーが守れることができるようになることを目標とすることが多いようです。

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入学までの流れ

特別支援学校への入学を希望する場合、各自治体で異なる場合もありますが、一例としては大阪市の場合は以下の手順を踏む必要があります。

1,各自治体が行っている学校見学・就学相談を受ける(入学前年の4月~)

2,就学先を決定する(10月末締め切り)

3,就学時健康診断(10月~12月ごろ)

4,通学通知書の受け取り(1月末までに)

5,入学説明会(2月~3月ごろ)

6,入学(4月)

(参考:大阪市「大阪市の就学相談」)

就学相談

特別支援学校に入学するためには、まずは各自治体が行っている就学相談を受ける必要があります。

就学相談は、障害があったり、発達上の問題で個別支援が必要な子どもに対して行っているもので、適切な就学先を相談できる場となっています。

第三者に相談に乗ってもらうことができ、専門的な知識をもって診断をしてくれると心強いですよね。

就学相談の申請

就学相談を受けるためには、まずは各自治体の就学相談にお申込みください。
申し込み方法は、各保育・幼稚園、小学校等から通知があったり、自治体から案内が届くなど様々で、各自治体によって異なります。

就学相談の時期は、自治体によっても異なりますが、主には小学校や中学校入学の一年前の4月から行われることが多いです。

必要に応じて随時受け付けてくれるところもありますが、できるだけ早い時期に受けるためにも早めに申し込みをしておくことをお勧めします。

就学相談の内容

①面談

就学相談では、まず面談・面接を行います。面談では、今までの子供の発達状況や今後の希望、困りごとや悩みを相談員と共有していきます。「就学支援シート」を活用して、本人の苦手なことや得意なこと、困っていることなどを整理しておくとスムーズに面談に臨むことができます。

②発達検査・知能検査

次に、発達検査や知能検査を行います。ここでは臨床心理士等が、「WISC-V知能検査」や「田中ビネー知能検査Ⅴ」「新版K式発達検査」などを用いて、発達・知能面での客観的データをとります。そのデータを活かして子どもの得手不得手や生きづらさを分析し、よりよい支援に繋げることを目的とします。

③行動観察・グループ観察

必要に応じて、行動観察やグループ観察が行われます。ここでは集団の中での個人の特性の発現の仕方や、他者との関わり方を専門家が観察していきます。内容は、ゲームや運動、学習の様子など様々です。

就学相談の結果

就学相談では、最終的には総合的にその子どもに合った進学先を、専門家の話し合いの末、各障害に応じた基準に基づいて判断・提案してくれます。

しかし、基準はあくまで基準ですので、その子どもの個別性に合わせて提案してもらうことができます。

就学相談で判断・提案された内容を必ずしも受け入れる必要はなく、納得のいくまで就学相談を継続することが可能です。

入学後も相談によって転校も検討されますので、子どもの様子を見ながら相談を積み重ねていくと良いでしょう。

最終決定権は保護者及び本人の意思が尊重されますので、専門家の見解も聞いた上で、子どもにとって最適な学習環境を整えられるといいですね。

まとめ

・特別支援学校とは、心身に障害を持っていたり、大きな病気を患う児童生徒が通う学校で、対象者の「生活での自立」を目的としている

・特別支援学校では、対象者には幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に準ずる教育を施しながら、障害による学習上や生活上の困難を克服するための支援が行われる

・知的障害のある児童生徒については、特別支援学校の中でも特有の指導形態の導入により、障害特性を踏まえた学びの場が提供されている

・特別支援学校に入学するためには、まずは就学相談を受ける必要がある

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