こんにちは!
就労継続支援B型事業所CONNECT Workの奥野です。
皆さんは「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉をご存知でしょうか?
最近では書店に多くの本が並んでいたり、有名人・芸能人がHSPであることを公表したりと、日本でも注目を集めているようです。米国の心理学者エレイン・アーロン博士が世界に広めた概念で「人一倍繊細な人」と日本語訳され、その特性を持つ人は5人に1人程度の割合でいるといわれています。
今回のコラムでは、仕事や対人関係で悩んでいる方に向けて、
・HSPの原因や向き合い方とは?
・仕事ではどのように対応したらよいか?
について解説していますので、是非参考にしてください。
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- 感受性が高い自分の特性を理解したい方
- 仕事での人間関係や環境に悩んでいる方
- 感受性の高さを力に変えたい方
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HSPとは?
HSPとは、「非常に感受性が高く敏感な気質もった人」のことで、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼び、頭文字をとってHSPと呼ばれています。HSPは環境や性格といった後天的なものではなく、先天的な気質・生まれ持った性質とされています。
非HSPなら気にならない刺激にも敏感に反応してしまうため、生きづらさやストレスを感じやすい傾向にあります。
HSPの特徴
HSPの人々は、DOES(ダズ)の4つの特徴があると言われています。どのような特徴を持つ人がHSPに当てはまるのでしょうか?
D: Depth of processing(深く考える)
HSPの人々は、情報を深く処理する傾向があります。場や人の空気を読み取る能力に長けていますが、情報を読み取りすぎるため必要以上に疲れてしまう原因にもなります。
O: Overstimulation(過剰に刺激を受けやすい)
人混みや物音・光、食べ物の味やにおい、衣服、気候の変化等、五感で受ける刺激に過度に反応する傾向があります。さらに、相手の感情や周りの雰囲気、目に見えないエネルギーに対しても敏感に反応しやすいのです。
E: Emotional Reactivity(感情反応の強さ、強い共感力)
親や自分の周りの人の感情を読み取り、自分を合わせることが多いのも特徴の一つです。またドラマや小説などで、作品に強く感情移入することもあります。美しい音楽や芸術に対して深い感動を覚えることも。この特性は、人々とのコミュニケーションにおいて、相手の感情を理解する力としても働きます。
S: Sensing the Subtle(些細なことを察知する)
他人が気づかないような微細な変化やニュアンスに気づく能力があります。例えば、部屋の配置の微細な変化や、人々の態度の微妙な変化などに気づくことができます。
HSPの原因
HSPは皆、生まれつき感受性が高いのかというと、実は必ずしもそうではないのです。HSPの原因は遺伝子と幼少期の環境に関連しているといわれています。
遺伝子の影響
HSPは遺伝的な要素が強いとされています。親や兄弟にHSPの人がいる場合、その特性を受け継ぐ可能性があります。特定の遺伝子がHSPと関連しているとの研究結果もあります。
幼少期の環境
幼少期(おおよそ7歳頃)の育てられ方や環境もHSPの特性に影響を与えるといわれています。過保護な育てられ方から、感受性の高さにつながることもあります。また、幼少期のトラウマやストレスも、感受性を高める要因となることがあります。
HSPとHSCの違い
HSPとよく似た概念であるHSCは「Highly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)」の略で、「非常に繊細な子ども」を指します。HSP(成人)では、その後も特性はほぼ変わらない一方で、HSC(子ども)は成長と共にその特性が変化することもあるとされています。
HSPセルフチェック
HSPはセルフチェックで、自分にどのくらいその傾向にあるのか確認することができます。以下の症状やケースに多く当てはまるほど、HSPの傾向があるといえます。
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- ・音や光に敏感である
- ・相手の気持ちに影響されやすい
- ・美術や音楽に深く感動する
- ・思考が複雑で深慮のうえ行動する
- ・人混みが苦手である
- ・細かいことに気を取られる
- ・刺激に対して疲れやすい
- ・長時間の社交が疲れる
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上記項目に多くあてはまる=「病気」ということではありません。HSPとはその人に病気や問題があるというわけではなく「気質」であり「特徴」であるからです。
しかし、繊細であるがゆえにプレッシャーを感じやすい、疲れやすい傾向にあり、うつ病などの精神疾患を患いやすいといえます。HSPであることを自覚することで、自分に合った生活や仕事のスタイルを見つける手がかりに繋げることができます。
HSPと仕事
受性が高いという特性は、職場でのコミュニケーションや業務遂行に影響を及ぼすことがあります。仕事の場面において問題となりうることと、仕事を続けていくための対処法について解説します。
HSPの人が仕事で直面する問題
職場でHSPの人々が直面する困難として、以下のような問題点が挙げられます。例えば、オフィスの騒音・照明・におい・空調によるストレスや、人間関係や感情の微細な変化に対する過剰な反応などです。また、新しい環境への適応が難しい、細部にこだわりすぎて業務が遅くなるなどの問題もあります。
また、HSPに限ったことではないですが、上記のような目に見えない感覚に由来する困りごとは、職場に相談してもその風土によってはなかなか理解を得られないかもしれません。
HSPが仕事を続けるための対処法
感覚に由来する困りごとは、決して本人の「甘え」や「努力不足」によって、生じているわけではありません。企業側が理解のある職場環境を整える努力をすることは前提として、困りごとを抱える本人自身も様々な対処法を試してみるのが有効です。それにより自身の職場環境が快適になるよう働きかけることができるかもしれません。
職場環境の調整
自分に合った職場環境を作るための工夫として以下のようなことが挙げられます。
- 騒音の少ない場所での業務 ⇀ 耳栓を使用するのも有効
- 休憩時間の確保 ⇀ 一人になる時間を作ったり、ストレッチをして体をほぐすなど
コミュニケーションの工夫
人間関係の構築やコミュニケーションの取り方にも工夫が必要です。約5人に1人はHSPであるということから、意外と身近なところに共感してくれる人や理解してくれる人がいるかもしれません。一人で抱え込まずに、自分の特性を周囲の上司や同僚に話してみましょう。理解者を増やしていくことが「生きやすさ」への一歩となります。
サポートの活用
自分の特性を理解してもらい、適切なサポートを受けることで、より円滑な日常生活、職場環境にすることができます。職場の上司や同僚をはじめ、専門家のカウンセリングを受けるなど、周囲からのサポートを上手に活用しましょう。
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まとめ
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- HSP(Highly Sensitive Person)は感受性が高い人々を指し、音や光などの刺激に敏感に反応する特性がある
- HSPの特徴は深い思考、過剰な刺激への反応、感情の反応、微細な感覚の4つ(DOES)に分類される
- HSPの原因は遺伝子と幼少期の環境に関連し、親や兄弟にHSPの人がいると受け継ぐ可能性がある
- 職場でのHSPは特別な対処が必要で、職場環境の調整やコミュニケーションの工夫、サポートの活用が重要
- HSPは病気ではなく、自分に合った生活や仕事のスタイルを見つける手がかりとなる特性で、理解と活用が求められる