こんにちは!
就労移行支援事業所CONECTです。
今回は「発達障害の人に対する職場での合理的配慮」について解説していきます。
そもそも合理的配慮とはどういったものなのか、具体的な事例や課題点を挙げながら解説していきたいと思います。
- 発達障害があり職場でのサポートを受けたいと考えている人
- 発達障害を持つ同僚や部下へのサポート方法について悩んでいる人
- 「合理的配慮」を受けたいと考えている人
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合理的配慮とは
合理的配慮の定義は「障害者の権利に関する条約」に定められている以下の内容を指します。
つまり、「障害や病気によってできないことは、必要かつ可能な範囲で配慮を行う」ということです。
2021年に障害者差別解消法が改正され、2024年4月1日から事業者による合理的配慮の提供も義務化されるようになります。
合理的配慮は障害者手帳の有無にかかわらず、障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人が対象です。
合理的配慮の提供には障害のある人と配慮の提供者がしっかり話し合って、配慮事項を決定することが非常に重要です。
合理的配慮の申請方法について下記のページで詳しく解説しております、ぜひご覧ください。
【関連記事】障害者雇用の配慮事項とは?書き方や事例など詳細を解説!▶
合理的配慮の事例
今回はASDの特性を持つ社員に対して、職場でどのような合理的配慮ができるのか考えていきます。
・予定の変更に対応するのが難しい
・口頭での指示が理解しにくい
・作業の優先順位付けが難しい
・感覚過敏によって疲れやすい
これらの困難に対して、職場でできる配慮例を一部紹介します。
指示の出し方
口頭での指示が理解しにくい場合は、メモやチャットツールを活用するのがおすすめです。
また、「適当に」や「できるだけ早めで」などの曖昧な表現も理解しにくい場合が多いため、作業方法や締め切り日を明確にして指示を出すとトラブルの減少につながります。
タスクの優先順位がわからずに締め切りを守ることが難しい場合は、複数人から多くの指示を出すのではなく、一人の上司から一つずつ仕事を与えるようにすることがおすすめです。
感覚過敏への配慮
聴覚や視覚などの感覚に過敏さがあると、蛍光灯の光やパソコンでのタイピング音に対してストレスを感じたり気が散ってしまうことがあります。
また 感覚過敏の症状が強くなると、頭痛や吐き気などを引き起こす場合もあり、仕事上だけでなく日常生活にも大きな影響があります。
ノイズキャンセリングイヤホンの使用を認めたり、簡易的なパーテーションを机に置いたりすることでストレスの減少や集中力の向上につながり、より安定した状態で仕事に取り組むことができます。
勤務条件への配慮
ASDだけではなく、発達障害がある人は比較的体調を崩しやすい特性があります。
また、精神科や心療内科への定期的な通院が必要な場合もあるため、本人と相談して勤務日の調整を行うことも重要です。
また、フレックス制や在宅勤務などといった制度も積極的に活用すると働きやすくなるかもしれません。
就労移行支援事業所CONNECT 卒業生 Y.Yさんの事例
ここで、合理的配慮に関する実際の事例を紹介します。
就労移行支援事業所CONNECT新大阪を卒業し、オフィスグリコ事業部に就職されたY.Yさんです。
Y.Yさんはオフィスグリコ販売センターに所属し、得意先に訪問して商品を補充する仕事を行っています。
一日におよそ12~13件ほど訪問先を回り、お菓子の配置やお金の回収を行います。時には訪問先の方からオススメを聞かれることもあるそうです。
担当者の方からは、このようなコメントがありました。
Yさんはオフィスグリコの販売センターで勤務してくれています。退社時間までに目標の件数が回れるよう、一生懸命回っていますが、当初はお菓子の補充する台数や種類が増えると戸惑うこともありました。その際は、Yさんと相談して什器自体を大きくできる訪問先の分は大きくすることで、細かく個数を決める必要をなくしました。すると、Yさん自身が作業しやすくなり、対応できるようになりました。
担当者の方はYさんの戸惑いに対して、作業をしやすいように改善を行いました。本人だけに工夫や努力を求めるのではなく、きちんと相談して職場でも配慮を行うことでより働きやすい環境を作ることができます。
Y.Yさんの一日の流れや職場での様子もぜひご覧ください!
合理的配慮を実施するうえでの課題点と解決策
合理的配慮を実施するなかで生じやすい課題点や その解決策についてご紹介します。
周囲の理解が得られない
合理的配慮は「障害や病気によってできないことに対して、必要かつ可能な範囲で配慮を行う」ためのものです。
例えば車いすユーザーの人が会社内にある段差によって不便を感じていたら、段差をなくしたりスロープを作ったりするなどの配慮が必要だとすぐにわかります。しかし目に見えない障害の場合、「その配慮が本当に必要なのか」「できないのは甘えや努力不足ではないか」といった誤解によって合理的配慮に対する理解が得られないことがあるのです。
同じ職場で働く人々に対して本人がどのような困りごとを抱えていて、どのような配慮があれば働きやすくなるのか丁寧に説明をすることが非常に重要です。また 職場での研修会を行い、障害に対する理解を深めることで、合理的配慮の理解だけでなく障害を持つ本人への接し方も同時に学ぶことができます。
しかし、本人の同意なく職場内で障害の説明などを行うことは厳禁です。職場内での説明を行いたい場合は、事前に本人の同意を取ったうえで話す内容を相談することが非常に重要です。
どういった配慮が必要なのかわからない
障害の特性によるミスやトラブルが起きた場合、どのように対策すればいいかわからないといったケースは数多くあります。うまく対策できずにミスを繰り返してしまえば、本人の自己肯定感低下や職場内からのマイナスな評価につながってしまいます。
しかし、事前に相談もなく勝手に作業量を減らしたり、職場内での配置転換を行ったりすることは本人を傷つける可能性が高く有効な解決策とはいえません。本人の意思や考えを確認しながら、どのような配慮を行うか決めていくことが非常に重要です。
就労移行支援CONNECTでは、様々なコラム記事やYouTubeでの発信を通して、発達障害を持つ人の特性や解決策について詳しく解説しています。また、「ジョブコーチ」や「就労定着支援」といった制度やサービスについても紹介しているため、ぜひ参考にしてください!
ジョブコーチについてはぜひこちらの記事をご覧ください。
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- 合理的配慮とは「障害や病気によってできないことは、必要かつ可能な範囲で配慮を行う」ということ
- 障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人が対象
- 2024年4月1日から事業者による合理的配慮の提供も義務化される
- 本人の意思や考えを確認しながら、どのような配慮を行うか決めていくことが非常に重要